サクラ咲くサク桜丘

しぶや三漁洞、44年間の変わらぬ情景

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【今回の桜な人々】
しぶや三漁洞
石橋光子さん


〒150-0031
東京都渋谷区桜丘町2-1
荻野ビル地下1F(マップ





「桜丘とは、“生き甲斐”です。主人が残してくれたこのお店があり、このお店を開けるために毎日生活をしていて、もうすぐ50年です」
女将さんである石橋光子さんがそう言って笑顔を見せる。
ここは『しぶや 三漁洞』。



渋谷駅南口の歩道橋下にあるアットホームな居酒屋は開店して今年で44年。昭和42年から桜丘を見つめている。
「このお店は主人と主人の父が“釣りキチ”だったことで、その釣った魚を食べられる場所があったらいいじゃないか、という思いつきからできたんですね」

石橋さんのご主人とは元『ハナ肇とクレージーキャッツ』の石橋エータロー氏(故人)。そして石橋氏のお父さんは音楽家の福田蘭童氏で、そのまたお父さんは洋画家の青木繁氏である。「作家の井伏鱒二さん(ちなみにこの方も釣り好きです)など文化人の方々とか、福田蘭童も石橋も友人が多かったものですから、開店当時はお友達が集まるサロンのようになっていましたね。それがそのうち雑誌などに取り上げられて、いっぱいのお客さんに来ていただきました」、そう語る石橋さんの後ろに掛かっている暖簾の文字は、青木画伯の残した文章を石橋氏が揮毫したものであり、飾られている絵画はもちろん青木画伯の作品。

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「これは開店した当時の写真です。ほら、暖簾も変わってませんでしょ。内装も当時からなにも変わっていないんですよ。そしてこれが私ですね、まだ20代のころです(笑)。隣が福田欄童です」
たしかになにも変わっていない。当時の写真に写っているのは、今のこのお店のままだ。44年前と同じく石橋家の想いが詰まっており、同じ笑顔の石橋さんがいる。

「44年もやっておりますから、その当時にいらしていたお客さんは亡くなったり、夜遅くまで飲んではいられなかったりします。それでも最近はインターネットで調べて来てくれる若いお客さんも多いんです。若い人でもチェーンの居酒屋とかだけでなく、たまには美味しい物を食べたくなりますよね。そういうときにネットに載っていれば、どういうお店か調べることもできますから、安心していらしてくれる。20時過ぎなどは若いお客さんばかりということも多いですよ」
世代は変わっても、お客さん賑わいもまた同じ。

はいお待たせ、という板前さんの声に石橋さんが振り返る。出していただいたのは一番人気の『あさりの酒蒸し』に『ぶり大根』。
料理研究家としても活動した石橋氏自慢のこの味も、もちろん――。

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「開店してから桜丘もいろいろと変わりましたよね。桜並木ではなく柳でしたし、おとなりも柳の木がある粋なお寿司屋さんでした。『AMUSEMENT』さんのビルには日本交通公社(現在のJTB)が入っていましたし……」
いまも刻々と変わりゆく桜丘。
しかし半世紀もの間、変わっていないところがある。
場所も、内装も、味も、そして気の置けない女将さんも。
そこは『しぶや 三漁洞』。
掛け値なしの名店が、桜丘にはある。



Q・あなたにとって桜丘とは?
「生き甲斐です」



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テーブル席と小上がり、落ち着く広さの店内。テーブルは檜の一枚板でできております。「テーブルは少し狭い作りなんです。お相手との距離が近くなりますよ」(石橋さん)

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味のあるお品書きの短冊。いまは絵のような鮎も時期ですよ

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店内の絵画は青木繁画伯の物。「本物はブリヂストン美術館ですけれども(笑)」と笑う石橋さん、44年前も変わらぬ笑顔の写真が左下。一緒に写っているのが福田欄童氏ですね

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もちろんご主人・石橋エータロー氏の姿も。左はハナ肇さんや谷啓さん、植木等さんたちクレイジーキャッツの面々ですね

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こちらが一番人気の「あさりの酒蒸し」(800円)。大粒のあさりとはもちろんのこ と、そのうま味が溶け込んだ出汁がまた最高! あと薬味にシソって合いますよ、こ れ

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こちらも忘れてはいけないのが、「ぶり大根」(1200円)。ドーンと大振りの大根、 中までしっかり味が染みた茶色だというのに、しっかりピーンと角が立っているのは もはや驚きの領域。食べ忘れ厳禁です

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名が入ったお酒、嬉しいですね。奈良のお酒の「三漁洞」(四合瓶で3000円)。こち ら、元関脇の寺尾関(錣山親方)が贔屓の店に置くお酒なんですよ(各お店ごとに名が 入っているそうです)






  エンタメ サクラ咲くサク桜丘   記:  2011 / 08 / 11

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