アラカン編集長モンブランを行く!

仙丈岳登山-2:登頂

2010 / 01 / 22

10011001.jpg暗いうちから出発。あまり芳しくない空模様。
昨日の林道歩きの比じゃない。キツイのなんの。パーティーには全くついて行けない。もちろん荷はダンチに軽い。小さなテルモスとちょっとした行動食ぐらいしか入っていないアタックザック。なのにダメ。深い雪が乗った山斜面を1歩1歩乗り越していくのにゼーゼー、ハーハー。
もー、ヤダッ!

登り口からわずか数分で「あ、今からならまだ引き返せる」と思いながら、口が開けない。簡単なこと。「テントで留守番してます」とさえ言えばいい。「今ならまだ」「今言わないと、この辺が限界」と思いながら、なぜか口に糊がついたように食いしばって雪斜面を登り続ける。そうこうしているうちに「もダメ。引き返せない」「今からじゃもう遅い」ところまで来てしまった。

10011002.jpg美しく化粧をまとった樹林も、雪深い山斜面の光と影の織り成す神秘も、もはや慰めにはならず、あたかも延々と続く苦痛の中にはまり込んで、身動きもならない。

なんてバカなんだろう。来るんじゃなかった。冗談抜きで、せめてテントで番でもしてればよかった。「引き返す」とひと言がなぜ言えなかったんだろう。そう言ったところで「あ、そー」「ま、いんじゃない」ぐらいなものじゃないか。むしろ、足を引っ張るカメがいなければ、その分ちゃんちゃん登れていいぐらいだろうに。
一銭だって得するわけじゃない。なぜ、こんな山登りなんてことを始めたんだろう。なにもかも、ワケがわからない。など泣き言を胸に溜めている自分が情けない。

「せめて森林限界ぐらいまでは登りましょう」
誰かが言った言葉に、ようやく支えられて歩く。

そう、大森スクール入校第1回目の山行は天狗岳・八ヶ岳だった。2月の厳冬期。
なにしろ12月に「冬山装備机上講習」を受け「それを以って雪上講習は八ヶ岳の赤岳鉱泉です」になんとなくでかけ「次はいよいよ本番。天狗岳へ登ります」に釣り込まれるように大森さんのあとについた。
雪山も初めてなら、奥多摩以外は丹沢ぐらいしか経験がないのに、いきなり厳冬期の雪山に出かけたのだから、今から思うと「なんちゃら、蛇に怖じず」というほかない。
雪が降る悪天候で風が斜面の雪粒を巻き上げ、上からも下からも襲いかかる雪のつぶてに目といわず、顔といわずサンドペーパーでゴシゴシこすられているようだった。体感気温はマイナス25℃ほどか。
最悪な条件での稜線だったが、その時、逆巻く雪つぶてと白霞のモヤをわずかに透して目にした、なだらかな白銀の稜線の広がりが今も忘れられない。
もうちょっと、辛抱すれば「あの稜線にまた会える」と思えば、ほんの少しだけ勇気が出る。

10011003.jpg上がるにつれ、天候は好転するどころか、ますます崩れ模様。曇天。戻り途中の登山者、2人に出会った。両者とも登頂を断念して引き返したという。我々だとて「早く登頂しないと、まずいことになる」のは必定。わかっていても身体がいうことをきかない。

パーティーは都合、3分割な感じになった。ちゃっちゃか歩ける先発隊3名。続いてビデオを回しながらの撮影隊1名とそれぐらいがちょうどな1名の2名チーム。それからずっとはるかに遅れて遅々として進まないカメ1名とカメ調教師1名。それでもカメは調教師に常においていかれるという無様。

「竜ノ頭」通過。段々森林限界に近づいてくると、樹木がまばらになる。その分だけ風が通り、体感気温がぐっと下がる。グローブの中で手指が凍りつきそう。

10011004.jpgようやく目にした雪の稜線。胸が広がるような感動。と同時にこの上ザイルして登るには疲労が大きいわが身を省みると、これ以上の歩きはとても無理に思えた。
「ここって、5合目ぐらいですか?」
大森さんに聞いてみた。
「何、言ってるの。さっきの竜ノ頭が5合目だよ」

聞いたとたん何か、緊張の糸がプツンと切れた。なぜだろう。
「大森さん、もうここでいいです。待ってますから登ってきてください」
自然に言葉が口をついて出た。大森さんが目をむいた。内心「軟弱なッ!」と思ったかもしれない。
天狗、赤岳など雪山の最後の最後の登頂の岩稜帯の上り下り。ザイルして歩くことがどんなことか何度か経験がある。歩調を合わせて歩けないと大変なのだ。
なだらかだが、両側に落ちている斜面でスリップすると、斜面をどこまでも落ちることになる。その危険回避のためのザイルなのだが、他のメンバーと足並みをそろえられない脚力のない者にとっては諸刃の刃。後ろから前から引っ張られて、それは恐怖。それに耐えうる体力はもとより、気力すら、もはや残っていなかった。

大森さんが10mばかり離れたヤル気満々組のところに行って何やら話し、続行パーティー3名のザイルを着け始めた。少しして大森さんが戻ってきた。カメにならう居残り組、2名とともに。

続行パーティーは小仙丈ケ岳まで上がって引き返すと決定したらしい。しばらく大森さんと一緒に、続行パーティーが白い稜線を登っていくのを眺めた。3人の姿が少しずつ小さくなって、やがて豆粒のように小さくなる。

「お待ち」組は稜線を下り5合目。竜ノ頭で待つことになった。稜線よりはずっと体感気温はましなんだが、それでもじっとしているとたまらなく寒い。
「ツェルト出して」
「テントに置いてきちゃった」
「なんのために持ってきたのよ」

大森さんのツェルトを広げて4人で入った。ペラペラのツェルト1枚でこんなにも感じる寒さが違う。4人、くっついて手をすり足をすりしていたら大森さんが言った。
「その歩きじゃあ、モンブランはムリだよ」
ギクッ!
言われなくても内心、そうは思っていた。そうは思っていたが、やはりそう明言されると胸にこたえる。
「トレーニング、頑張らないとね。毎日走るぐらいの勢いだよ」
「はい」

10011007.jpg毎日走るはともかく、道のりの厳しいことは十分自覚してはいる。トレーニングの進捗が決して順調でないことも承知している。返す返すも2度も怪我をしてしまったことが悔やまれるが、取り返しもつかない。
頑張らねばならない。しかしながら要らぬ焦りもまた禁物であるとは、痛いほど身に沁みている。
遠い頂を仰いで黙々と歩を進める。トレーニングもまたもうひとつの登山なのだ。

「仙丈が見えたよ」
小仙丈登頂組みが降りてきて言った。胸がチクリとした。
「もうちょっと頑張れたのかな~?」
わが身が不甲斐なかった。仙丈も見たかったが、そんなことより、もし頑張ってカメが小仙丈まで行ったなら、続行組みは仙丈登頂がなったのかもしれないと思うと、申し訳なく痛恨の極みだった。

*画像は全てby T.Sさん。






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