編集長!今日はどちらへ?

ヨーロッパクライミングツアー2016夏-9
Shamonixシャモニークライミング-III-

2016 / 10 / 27

ミディ南壁レビュファールート・マルチピッチ-2

datin161027_001.jpg さてミディ南壁マルチだが、ここまではまずまず順調と思ったのも束の間、3Pのビレー点に達したと思ったら急に呼吸が苦しい。肩で大きく呼吸するのだが吸っても吸っても入ってこない感じなのだ。「ハーハー、ハーハー」を何度か繰り返し、ようやく息が整ってきたかと思ったら今度は咳が出始めた。先行パーティーがぐずついているので篠原ガイドとビレー点で待つ間、乾いた咳が頻発する。

「標高、ずいぶん上がってきてるからね」
「そうかあ、そうですよね」
ここまでの標高差たるや上下動は相当なものだ。ロープウェイの山麓駅が標高1035m。一気に3832mの展望台へ上がって、一旦、約1500m余の氷河に降り、南峰の山頂3800mを目指して登攀を開始して3ピッチ終了ということは、およそ6000mの高低差を上下動したことになる。肺も心臓も仰天するわけだ。

もうちょっと、ちゃんと予習して、来る前に富士山ぐらい登っておけばよかった。
あああ、後悔先に立たず。覆水盆に返らず。トホホ…
4Pを終えるころには息苦しいを通り越して目が回って、頭がクラクラするようになる。

「3ピッチまではまずまずのスピードだったんですがね〜」
どんどんパフォーマンスが落ちてくる。体力不足も甚だしい。 おまけに5Pからクラックが頻発する。苦手なクラック、もっと練習しておくんだった。
2度目の後悔も先に立たず。2度目にこぼした水も盆には返らず!およよ…
レイバックでごまかそうとするも、体力消耗が激しすぎてどもならん!6Pのチムニーはズルズル頑張るも力果て、泣きが入る。
ほんとに泣いちゃうぞ!!!

datin161027_002.jpg 「あらゆる種類のクラック出現!」が脳裏に残る印象。
クライミング用語「ガストン」はこのミディ南壁の開拓初登者ガストン・レビュファーの名に由来するとは知られたところだが、細くて浅いフィンガークラック、とても観音開きでなんか維持できない。
上の画像は完全に登り方を間違えている。クラックが苦手過ぎて、「なんとかステミング」の図、なんだが、フェースにホールドを求めても凡そ見つからず手足を張れば張るほど凹角の奥に通るクラックから遠くなる。処置なしだ。

「3分の2にしましたから、自分を上げようとしてください」
のお言葉に甘えまして、私は荷物と化したのあります。

datin161027_003_A.jpg ちょい待ちしていたら、後続パーテーィーが間近に詰めてきている。フランス人パーティーらしい。テラスでほっとしたもんだから彼らの会話が耳に入る。
「○○××@♯〜ДшяЮф○○××@♯〜ペラペーラ、ペラペーラ」
「Japonaise lent○○××@♯〜ДшяЮф○○××@♯〜ペラペーラ、ペラペーラ」
「Japonaise lent」だけ聞き取れた。「日本の女、遅いよ」だって!
ス、ス、スイマセンッ!!!

datin161027_003.jpg 「大丈夫、思い切って!」
と言われましても…
8Pの(1)テラスの端で、思い切り躊躇している。目前の壁に乗り移らなければならないが、奈落のように切れ落ちた壁と壁の隙間をまたぎ渡る怖さで、身体が固まる。
ほんの小さい突起が見て取れて、薄いえぐれに乗れそうな位置をめがけて、つまりは壁ドンする。「爪がちぎれてもいいや」な決意で薄ツブカチに身を委ね、足を寄せる。その時のドッキンドッキン感と言ったら!
(2)は「お引越し」を終えて、胸をなでおろすの図!!

datin161027_004.jpg 8Pは壁ドンから少し上がりトラバース気味に岩を回りこむ。(3)の写真のロープのラインでもそれが見てとれる。そこからが最終ピッチ。核心の核心!ここをフリーで上がれたら、どんなにかステキ!リードしていった篠原ガイド、今更ながらリスペクト!!
見ただけで出だしから困難を極めるを知る。
ここは躊躇いもせず、篠原ガイドが垂らしてくれたボルトにかけられたスリングに手を伸ばす。
取り付く島のない直立したスラブはスリング掴んだぐらいでは上がらせてくれない。 アブミ、持ってくるんだったわ〜
なんとか体を少し上げたら、スリングに足を入れ、仕舞いにはボルトに乗る。下にいるフランス人クライマーがさぞかし呆れ顔をしているだろうが、そんなことは知ったこっちゃない!

datin161027_005.jpg ようやく登攀終了!
クタクタ、なんてもんじゃない。全身、乳酸の塊り!頭もくらくら。マジ、ひっくり返りそ!!ではあるが…
この一瞬、この一瞬のために生きてきた、と思えるくらいの何ものにも代えがたい尊い瞬間が訪れる。全ての苦渋から解放された浮遊感。幸福とか至福とか、そんな感情も入り込めないくらいの、一粒の塵芥のように、何も思うこともなく、ただただ青い虚空に漂うている

datin161027_006.jpg 突き抜けるように蒼い虚空に舞い降りようとしている塵芥!
なんという、ちっぽけで壮大な詩だ!!!











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