編集長!今日はどちらへ?

御在所暴風雨クライミング
-こんな胆冷やしクライミング初めて!!!-

2013 / 12 / 02

チャッチャ、チャチャッチャ、
チャッチャ、チャチャッチャ、
ゴザイショ!
ボー(暴)!
フー(風)!!
ウーッ(雨)!!!

ジョーダンでも言って笑い飛ばすしかないよ。間違ってもこんな状況になることが予め分かっていたら、誰もマルチピッチになど出かけたりはしない。小雨でも中止を余儀なくされる岩登りだというのに、キャット&ドッグなどしゃ降り雨。雨だけじゃあない。吹っ飛ばされそうな、ものすごい強風。台風の実況中継だって岩の上じゃあやらないでしょ。
御在所岳前尾根マルチピッチは世にも恐ろしいクライミングになったのだった。

11月2日土曜日、湯の山温泉から御在所岳登山口すぐの日向小屋に入った。荷を解いて、30分ぐらい奥の「ウサギの耳」に登りに行った。
折しも紅葉の時期で山道はハイカーの行列。あたかも「東の高尾山か西の御在所か?!」な様相!その、紅葉見物の列が我々のクライミング見物にとって代わる。自然とモチベーションが上がる。

datin131202_01_2.jpg 日向小屋のご夫婦は根っからの人好きとみえて、テーブルにずらり日本酒並べて「さあ飲め、やれ飲め」!手料理感満載のご飯も最高!

11月3日日曜日、朝食後「一の壁」へ。アプローチは2時間足らず。すごいビッグウォールだ。登るのに時間がかかるのでシングルピッチなんだがトップロープではなく、リード&フォローで登るのがこの岩のルールなんだとか。篠原ガイドのリードで、1本のロープにYさんとMさん、1本にKさんと私がつく。終了点からチャラッと降りられるのかと思いきや、案外危うい岩稜線を冷や冷やしながら元の基部へ戻る。

datin131202_02.jpg 壁の端の短か目のルートを何本かトップロープで登る。といっても、十分に登り甲斐あるルート。

datin131202_03.jpg 早めに切り上げて日向小屋に着くか着かないかに雨が降り出す。天気予報通り夜分に雨脚が激しくなり、風も出てくる。

11月4日月曜日(祝)、残り雨を気にして、まずまず上がったのを確認してから出発。「寒気が入り込んでいるが、時間経過で天気は回復」の情報をよすがにアプローチを詰める。
前尾根の基部に到着してみれば、あちゃ!先行パーティーが!!しかも大勢さん!!!3人×4の12人だ!
それがまた、うひゃ!なパーティーときてる。アタシが言うんだから相当うひゃ!だよ。ちっとも埒が明かない。×2番目のリーダーが自分が引いて行ったロープの長さが相当違っているという認識がないらしい。フォロワーが「ムラサキ、引いてくださ〜い」など下からいくら叫んでも、ルートが屈曲しているので声が届かない。あんまりもそもそしているから、思わず「逆にツンツンしてみたら如何ですか?」などアタシが言っちゃうぐらい。

次に×3番目のラストの人、1手目から上がれない。上がれない、そして上がれない。誰だって始めは初心者。下手で当たり前は仕方ない。けどいきなりマルチはどうなんでしょ!連れてくる方に問題ありでしょ。 ×4番目のリーダーがお尻を押して、ようやく1手目クリア。だけど2手目が上がれない、上がれない、そして上がれない。
ずっと、ずっと、ずうーっと待ってる後続の身にもなってよ。朝っぱらで気温も低いし、日陰で寒いのよ〜!!!

datin131202_04.jpg 以降、ずっとそんな調子でピッチごとに渋滞ですわ。「初めてマルチ」の青年を寛い心で温かく見守りたいのはやまやまなんだが、こんなことしてたらほんとに日が暮れちゃう!
業を煮やした篠原さんが途中から迂回ルートを登り始めた。これがまた大変な「裏街道」でムズイのなんの。篠原さんが下げて行ったスリングだのクイックドローだのを駆使したのは言うに及ばず、フォローの3人は知恵を寄せ合いスリングあぶみをこしらえたり、クイックドローを連結させたり、えらい苦労。その割に報われず、渋滞を越せないばかりか、途中までエスケープルートの山道を上がってきた他パーティーに割り込まれるやら、もうさんざん!
で、ロスした3時間がとんでもない結果を生むことになった。

3分の1を残したあたりか、パラパラと来たかと思う間もなく、ザーッ!に変わり、風も加わって大変大変!どしゃ降り状態の雨だけでも怖いのに横殴りの風。時々ブワーットと向きを変えて吹き荒れる。吹っ飛ばされそうになって壁に必死にへばりつく。怖いの怖くないのないの。
前尾根はアイゼンクライミングの練習の場でもあるらしく、そこここに2つ穴が開いている。そこに雨水が溜まる。そして穴の周りはツルツル。びしょびしょのツルツル!そして奥歯を噛みしめなければいられないほど寒くて体が冷え冷え!
最悪!!

datin131202_05.jpg ↑上の写真は雨が降り出す前かな〜待ちが寒くて上だけ雨具着たんだろうな。ザーザーのビュービュー中は例え篠原さんと言えども写真どころじゃないだろうが、あまりにものクライミングだったのでどこらへんピッチだったかが皆目わからない。

datin131202_06.jpg 今となってはどこがどう核心だったとか、どのピッチがスラブだったとかガリーだったとか、ただただもう必死で覚えがない。死ぬほど怖かった。
ただ…
望んでもできないものすごい経験であり、ある意味、これほどゴージャスクライミングもないかもしれない。
ロスタイムがなければクライミング終了後の雨風だったかもしれない、とは思ったりもするが、過ぎてしまえば、あの「初めてマルチ」の青年も相当大変な思いをしたことだろう。
恐らくリーダー判断で途中で1ピッチ、2ピッチ懸垂して、回避ルートを歩きで降りようという懸垂ポイントですれ違った。目が真っ赤だった。懲り懲りして、クライミングが嫌いにならなければいいがな、と心配する。

いや、それは杞憂だろう。大変だったからこそ「もっと頑張ろう」「上手くなりたい」ときっと思うに違いない。
できないことが、できるようになる。こんなステキなことはない。ましてや緑の海を見渡して風の音を聞きながら、自然と一体になって天に向かって登って行くクライミングは一度踏み入れた者を放さず心惹きつける魅力を持っているのだから。

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