勝手に読書録

見えない力

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作者名:小林幸一郎
ジャンル:エッセー
出版:アスペクト

見えない力 


筆者が2015年7月に開催された全米障害者クライミング選手権視覚障害者男子部門を他を寄せ付けない強さで制したことは記憶に新しい。本書はNPO法人モンキーマジックの代表理事でもある筆者の来し方が綴られている。 モンキーマジックとは視覚障害者を主な対象としたフリークライミングの普及活動を行うNPO法人で、様々な交流を生み出し障害者理解やその自立支援の実現を目指し、同時によりよい社会、開かれた社会の実現を提唱するものだ。

引っ込み思案だった小学生時代。高校2年生で出会ったクライミングは確かに彼を変えた。しかし、28歳で眼病を患い「将来は失明」と診断された時からが実は著者の本質は真に変貌し始めたと読み取れる。すなわち著者が想像を絶する自らの状況を「見えない力」に転化し、その役割を自覚した時にこそ「モンキーマジック構想」は生まれ得たのだから。

「クライミングで世界をつなげたい」
最終章でそういわしめたもの。イタリアのアルコでの世界選手権パラクライミング部門優勝の後、独りフランスのリヨン、トゥールーズへ向かい、障害のある子どもたちの教育施設から「そのメソッドをとり得れたい」との依頼を受け、講演して改めて気づいた自らのクライミング人生が他に及ぼす影響力の大きさだった。

著者が獲得してきた、ポジティブシンキングという語彙域をはるかに越える人生観に胸を熱くして、読了後は読者も必ず変貌する。ユニバーサリストであろうと欲するのはもとより、見えないものを見る力を得たいと願い、「みずみずしく鮮度のいい人であり続けたい」「そのためには常に新しいもの、場所、ことを追い求めたい」という著者の意志を共有するに違いない。

http://www.rockandwall.jp/ 

asobistサイト『VIVA asobist』でも、インタビューをさせていただき、まもなく記事も掲載される予定です。お楽しみに!










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