勝手に読書録

哀しみの女

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作者名:五木寛之
ジャンル:小説
出版:新潮文庫

哀しみの女 

本作・新潮文庫をご所望の向きは、某Amazonで検索すれば1円のものを含め全54点ほどしかないので、急がれた方がよかろう。ぜひ「1円」で求めてみてほしい。たとえ送料が400円近くかかると知っても。

本作は強烈かつ挑発的画風で知られるオーストリアが生んだ鬼才、画家エゴン・シーレ(18901918)の同題の「哀しみの女」にインスパイア―されて書き下ろされた掌編小説。
表紙にその「哀しみの女」の絵がはめ込んであるのは新潮文庫だけ。つまり五木氏の「哀しみの女」の初版1986年であり、そしてそれはとりもなおさず伊勢丹美術館にエゴンシーレ展が開催された年でもあった。

エゴン・シーレを知らずとも、表紙に配された絵画に佇む女の、どこを見つめるでもない視線に見入ってしまうだろう。女はヴァリ。エゴンシーレの師匠であり大先輩でもあるクリムトのモデル、つまり愛人であったのが、ついにはエゴン・シーレのモデルになった。

しばし表紙の「女」を見やってから、30余年の月日を経てすっかり黄ばんだページをめくりながら読み進める。するとその深淵な哀しみに感作するかして読み終えるころには小説の主人公和美とヴァリが重なり、哀しみが輻輳されて拡がる。 五木氏が受けたと同質な衝撃を追体験していると感じる。創造者が作品を生み出そうとするときの動機の渦中に巻き込まれている感は読者があやかる最高の陶酔には違いない。

1986年に伊勢丹に「哀しみの女」が来た時に氏が文芸誌に寄稿した「哀しみの女」に寄せたエッセイの印象はあまりにも強力だった。
30余年の月日を経て今夏,国立新美術館で開催された「日本・オーストリア外交樹立150周年記念、ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道2019年4月24日8月5日」には「哀しみの女」は出展はなく、クリムトの「ヴァリ」がメインでデスプレイされていた。同展覧会に出向かれた向きには是非におすすめの本書。読み終えて初めて「展覧会」は完璧なものになるだろう。

1円と送料、合わせて400円ちょっとの初版をお勧めする所以である。さらに時を経て、もし絵画「哀しみの女」が日本にやってくることがあったら、ぜひ「ヴァリ」に会いに行ってほしい。30年後か50年後か...










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