初恋物語

ペンギンさん

高校生の初恋全3戦のうちの2戦目の話である。

男子はニックネームを「ペンギンさん」といった。
いつもこう...胸を張って歩いている感じ、それがペンギンに似ていたような、それでいつしか「ペンギンさん」ってことになったんだような、それが周知のことだったか、アタシが胸のうち密かに名づけただけだったような、どうもおぼつかない話ではある。

アタシはといえば、いつも元気いっぱい、大きな口あけてゲラゲラ笑うゲラ子。
運動も好き。歌うのも好き。フォークバンドのボーカルで学園祭のステージに立ったり、他校の男子と組んで他所の学園祭に出かけたり、公民館のようなところの催しに出演したりする積極派。恐らく周囲の生徒や先生方の評価はそんなところだったはずだ。
かたやペンギンさんはさほど目立つ方ではない。どちらかといえば無口で穏やかな性格。だから、友人らはこぞって「なぜ?」といぶかった。

アタシがどのようにペンギンさんにアタックを試みたか、ゲラ子ぶりを発揮したか、そのあたりのプロセスについてはとんと記憶がないのだが、そのエンドシーンはかなり鮮明に記憶している。

ペンギンさんと仲のよい男子とカップルだった友人が仲立ちになってくれて、2・2で上野の美術館に行った。混雑する館内で、あるいは友人組みの計らいだったか、アタシらははぐれてしまった。
ぺンギンさんと絵画を観て歩いてはみたもの、もともとペンギンさんは絵画にはさほど興味がないらしいこともあって、どうもシックリいかない。
「どの絵が好きか」「この絵をどう思う」など尋ねてみても会話にならない。無口なペンギンさんを相手にアタシひとりがベラベラしゃべり、ゲラゲラ笑う。
さすがにゲラゲラするのも、たぶんゲラゲラを聞くほうもくたびれてきて、あとははぐれたカップルをただただ探すことで紛らわす。

で美術館の後、どこかへ回る予定だった。ところが友人の女の子が電車の中で「気分が悪い」と言い出したのを彼氏が送って帰るという。
もう、もう、ベラベラ・ゲラゲラ役は御免こうむりたく、とてもじゃないが「チャンス到来」ってな気分にはなれなかった。

ゲラ子の内実は案外本人が自覚するよりはるかに暗くドヨドヨしていた。
独りの時は身の置きどころない不安感への対抗で常に眉根を寄せて耐えていた。内側を悟られまいと頑張ることにくたびれていた。きっとだから無口で穏やかなペンギンさんがステキに見えた。だけれどゲラ子はゲラ子の役を降りられなかった。
そんなことだった、きっと。


んで、今ゲラ子はいったいどうしたんだか、さあね?...















読み物 初恋物語   記:

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