VIVA ASOBIST

Vol.99伊東秀和
2020年東京オリンピック・スポーツクライミング応援シリーズ―3―

2015年8月にJOC(日本オリンピック委員会)で2020年東京オリンピック追加種目として新たに5競技が選定され、スポーツククライミングもその一競技として正式にIOC(国際オリンピック委員会)に提案されました。2016年8月のIOCの正式な最終決定を待つばかりです。 JOCの決定を喜び、IOCの最終決定を歓待し、さらには2020年の日本選手の目覚ましいばかりの活躍を心から応援したいものです。
そこで「VIVA ASOBIST」では「2020年東京オリンピック・スポーツクライミング応援シリーズ」と題し、日々研鑽を重ね続けるスポーツクライミングの選手やその周辺に焦点をあてて、皆様にご紹介したいと願うものです。

 

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【プロフィール】
伊東秀和(いとう ひでかず)
・プロフリークライマー/クライミングコーチ/フィットネストレーナー(日本体育協会公認スポーツ指導者)/公益社団法人山岳ガイド協会スポーツクライミングインストラクター/公益社団法人日本山岳協会公認B級競技ルートセッター
・1976年(昭和51年)東京都生まれ。
・2002年ジャパンカップで優勝
・2002年2003年2年連続でJFAジャパンツアーの年間チャンピオンとなる
・2005年伊東秀和クライミングスクール開校
http://itohide.com/
・2003年2011年の世界選手権(2年に1度)にリード日本代表として5回連続出場
・ワールドカップを始めアジア選手権など多くの国際大会に出場


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ワールドカップ、世界選手権等々、クライミング・ボルダリング界における日本人選手の活躍は目覚ましい。2020年東京五輪に正式種目として認定される見通しから、報道メディアの注目度も高まりを見せている。

「小学生からみている選手もいますよ」
表舞台で脚光を浴びる選手たちを陰になり日向になりここまでに育て上げ、押し上げてきた陰の立役者!クライミング競技の世界で知らない者のないクライミングコーチ!!と言えば…
通称「ヒデさん」と親しまれ日本全国、どこにでも指導に現れる伊東秀和!その人だ。
自らもトップクライマーだった経験をフルに生かし、選手一人一人の特性を捉えた適切な指導は技術面は当然だが、心配りは精神性にまで及ぶ。選手との信頼関係は、選手たちにとっても何ものにも代えがたいサポートに違いない。

今まで知る人ぞ知るにとどまっていたクライミング・ボルダリングの競技シーンだったが、最近YouTubeやスカイAで国内外の競技なども放映されるようになってきている。報道メディアの注目が高まってくればテレビ番組でクライミング競技が放映される日もそう遠くはない。自らもトップクライマーの経歴を誇り、今を時めくクライマーを育て上げ、そのひとりひとりを熟知している「ヒデさん」の解説をお茶の間で耳にする日は、もうそこまで来ている。



 

VIVAito_003.jpg選手は十分、世界トップレベルに育ってきている!
さらに強いチームジャパンを作るにはチームとしての環境作り、体制作りを!


小玉:まず…最近、ワールドカップなど世界大会をYouTubeやスカイAなどで目に触れる機会も多くなってきましたが、折に触れそういう場所に伊東さんの姿を拝見しますが、チームジャパンとして行っていらっしゃるんでしょうか?
●伊東:ワールドカップには、数年前までは、個人的について行っていました。
日本代表監督というよりは、そのころは、マネージャーが1人ついていきましたが、各選手が個別に動いていました。その後、少しずつ体制が整ってきて、チームで動くようになりました。自分も何度か監督として同行しました。

小玉:2020年五輪でのクライミング競技について、様々に周知されて、具体的にメディアや広告のサポート体制が動き始めていると最近とみに感じますね。
●伊東:そうですね、アシマちゃんとか凄いみたいですよ。年間サポート費が桁違いで。今までのスポーツクライミングの感覚とは違って来ていますね。
*アシマちゃん:白石阿島2001年4月生まれ。わずか14歳で天才クライマーと言われている。米ニューヨーク在住。

VIVAito_004.jpg小玉:それは、選手たちにとってみれば、競技に集中できる、いい環境と言えますね。
●伊東:そうですね。僕も自分が選手だったので、サポートは大事だと感じています。なので、トップ選手をはじめとしたアスリートチームには、スクールもサポート料金で指導しています。

小玉:野口啓代さん、安間佐千さん、野中さんとか、BACE CAMPに選手登録している選手の中にはマネージャーさんがついていて、サポートなど外の企業との仲立ちをしてくれるケースも出てきていますね。
●伊東:選手もそのような体制が整うことで、競技により集中できるので、よいことだと思います。

VIVAito_005.jpg世界に通用する選手を育てて、表舞台へ送り出す
壁と登り手の間に入らない、壁に向き合う登り手の心に寄り添う指導


小玉:伊東さんのスクールのホームページを拝見すると、今を時めくトップクラスの選手を指導されていますね。
●伊東:ともあ、めいち、(楢崎智亜さん、楢崎明智さん)は小学校から。あや(尾上彩さん)も小学校から。スクール開講時からですね。
小玉:1週間、あっちに行ったり、こっちに行ったり日本全国飛び回ってという感じですね。
●伊東:そうですね。近年は全国で指導することが増えてきました。

VIVAito_006.jpg小玉:競技者としてではなく指導者として今のようなスタイルになったきっかけは?
●伊東:指導者としては、卒業して本格的に始動するために22歳の時にPUMP2(クライミングジムPUMP2川崎店)に就職しました。その前はフィットネスクラブで働いていました。お金を貯めたら海外に行こうと思っていました。
PUMP2ではインストラクターの知識があったので、提案してレベルアップスクールを始めました。それが今でも続いています。一般のクラスです。PUMP2を辞めるまでは、僕が担当しました。
小玉:だから肩書きは、プロフリークライマーで、クライミングコーチで、スポーツインストラクターなんですね。
●伊東:指導としては、20年近くになります。選手は、あや(尾上彩さん)から。僕が2005年に独立した時からです。
みほう(野中生萌さん)は、3年前。高校入学の年にアスリートクラスに入りました。

小玉:クラス分けは、アスリートクラスと一般?
●伊東:そうです。一般の方はレベルも年齢層も幅広いです。アスリートクラスはS、A、Bとあってジュニアクラスもあります。5年前までは個別にやってました。今は年間単位で登録してもらっているので、日程も融通がきくようになって、合宿もできます。このシステムにしてからは、活動しやすくなってきました。

VIVAito_007.jpg小玉:的確な指導があればキッズやジュニアがどんどん増えて明るい日本のクライミング界ですね〜
一般の人たちは選手になりたいとわけではないですけど、うまくなりたいから続けている。一言で言うと上手くなるコツとはなんでしょう?
●伊東:シンプルなんですけど、自分なりに肉体も心もゆとりを持って登れる、楽しいと思えるクライミングを心がけることです。ゆとりをもって楽しく登れないと、うまく動けていないんです。だから易しいルートで、楽しさを感じられる登りが基本です。その基本の幅が広くなってきたら、チャレンジして難しいルートも増やしていくといいと思います。

VIVAito_008.jpg小玉:ロジックも大切ですか?
●伊東:大人にはプラスだと思うんですけど。理論と知識があって行動がある。そこのバランスですね。その人のタイプもある。僕は、もちろんロジックも教えますけど、伝えない意識が強い。知識が多くなって、それだけで満足してしまうというのが日本人の特性ですね。
理屈は体現しないと意味がない。反復して長期に渡って意識して、それが本当の知識になる。頭で判るのは大切ですが、行動が伴わないと意味がない。英会話と一緒です。参考書を買って満足しちゃう。実践が一番重要じゃないですか?だから、僕は知識は少なくていいと思っていて、ちゃんと体現した人、体で理屈がわかった、体にダメージを入れてわかった。そしてそれを継続した選手や生徒には、少しずつ次のステップを伝えます。そのバランスが大切です。
楽しく実践して気づいたら身に付いていた、というのが理想でしょう。子供は特にそうです。伝え過ぎない意識はコーチとして重要なポイントです。

小玉:筋力とかリーチの差があって、言われた通りにできないという場合もありますね。
●伊東:僕は、登っている時には何も言わないですね。その人と課題との間には入らないようにしています。極端に言えば登れても登れなくてもいいと思っているんです。あれこれコントロールして登らせることはしません。
たとえば、恐くて一手が出せなくて登れない場合、恐くて登れないのが実力だと思うんです。ムーブがわからなくても、そこを邪魔しないで好きにやってもらって、降りた時に、共感して寄り添うように、ちょっと話をする。だから心の動きを見てないといけない。降りた時に言われたことが自分の感覚とずれていたら、信頼関係がなりたちません。ルートで感じたことと言われたことがシンクロしていたら、それが良い指導なのではないでしょうか。
小玉:関係性が大事なんですね。

VIVAtoda_009b.jpg狭き門!東京五輪クライマー選手枠!!を潜り抜けることより
今の自分のクライミングを充実させてほしい!


小玉:東京五輪の正式な種目に決まりますが、そこからスポーツメーカーでない企業のサポートがついたり、世の中が動き出してると感じますが、それについて、どうお考えですか?
●伊東:選手の環境、トップ選手の周りの環境が変わって来ています。プレッシャーというか、今までにない重圧はあると思いますけど、資金的な面でも活動力が上がってきています。オリンピックに選手として出れる人数は知っていますか?
小玉:5種目の全体で500人と聞いていますが、クライミング選手枠はどうなんでしょう?
●伊東:クライミングは世界で男女20人ずつです。だから各国2名程度。今は、ワールドカップでは男女総勢15人で行きますけれど、現状のようには出られないです。
小玉:2人ずつは厳しいですね。
●伊東:日本は強豪国なので、世界チャンピオンが出れば、もしかしたら世界枠みたいなので枠が増える可能性があるとは思っています。選手はそこを目指すのではなくて、むしろワールドカップで優勝することを目指した方が賢明でしょう。今の気持ちをしっかりみつめ、ふだんのクライミングを充実させようとすれば、笑顔にもなれます。

小玉:競技的には、リード、ボルダー、スピード?
●伊東:3種なんですが、スピードの選手は淘汰されると思う。1種目しか武器がない。ロシア代表だったら、リードが強い、ボルダーが強い選手がいるじゃないですか?スピードが強い選手もいますけど、スピードの強い選手は、世界レベルでいうとリードとボルダーが強い選手はいない。スピード専門ということで、不利です。今のスピードのトップの選手は誰も出られないと思います。中国は、リードとボルダーが、そんなには強い選手がいないので、スピードのトップクラスが出て来る可能性があります。
基本は、リードとボルダーの総合。その両方が強い選手が、最後にスピードもプラスして練習をしていく。前年度から練習するくらいで良いと思います。
日本としては今まで通りリードとボルダーをメインで。まずは、どちらかの競技でチャンピオンになることが重要です。オリンピックは視野に入れながら、今まで目指してきた目標に進んでほしいですね。

VIVAtoda_010b.jpg小玉:予選とかだと平均グレードはどのくらいですか?
●伊東:今は、かなり難易度が上がってきています。ボルダリングワールドカップの予選ですと、スラブに関しては難しい初段くらいだといわれています。フィジカル系のルートだったら、2段前後、女子でやさしくて1級、後は全部初段以上でしょう。トップ選手もミスが続くと登るのは難しくなります。

小玉:リードだと13くらいの感じですか?
●伊東:ワールドカップだと、男子は13後半から14台が予選、女子が13c〜13d、準決勝からさらに難しくなる感じです。
小玉:選手がやっているのを見ると、出来そうな気がしますが、実際にはとりつきさえもできない。
●伊東:ボルダーもリードも近年、高難度になってきていますね。ラウンドごとにグレイドは増すし、競技性がさらに高くなってきています。それだけ選手の競技レベルは上がってきています。

小玉:どんどん、エスカレートするんでしょうね。
●伊東:ボルダーはより瞬発性が必要になりムーブの幅も要求されるようになってきました。2、3年するとリードも同じ傾向になるのではないでしょうか。

小玉:リードもボルダチックになってくるのでしょうか?
●伊東:そうですね、高いボルダー能力はリードで活躍するには重要になります。
小玉:指導された小学生が中学生になり、さらに選手として活躍したりすると、我が子のことのように嬉しいですね。
●伊東:そうですね。たくさん息子と娘がいる感じで嬉しいですね。結果だけでなく、内面の変化が見えた時も成長を感じます。
*ボルダリングのグレード:10級〜初段〜と表示する方式が国内では、ポピュラーに使われている。初心者は7級あたりから入り、3級あたりから中級で、初段では上級の域となる。
*リードのグレード:米国のグレードシステム(デシマルグレード)が国内ではポピュラーに使われており、「手を使う岩登り」をあらわす5の数字に続く“.”以下の数値と記号の組み合わせで難度を表す。 5.10以上においては、さらに細分化するために5.10a〜5.10dのようにa,b,c,dの英小文字をつける。また、5.10-〜5.10+のように表記することもある。二つのグレードの間くらいの難易度と判定される場合、5.11c/dや5.14d/15aのように二つのグレード表記の間に「/」を入れて表現する。 初心者は5.7当たりから入り、5.11aから中級、5.13a以降で上級となる。現在の世界最難ルートは15cとされている。


VIVAtoda_011b.jpgもっともっとクライミングを一般的に浸透させるには
放映時のわかり易く魅力的な解説が重要


小玉:今回、伊東さんにインタビューをお願いしたのは、先日ボルダリングジャパンカップの中継を見ていて伊東さんの解説に感動したからなんです。クライミングというものを、たくさんの人に知ってもらいたいと思っています。オリンピックは日本の方々にクライミングを知ってもらう大きな起爆剤になるはずです。ですが競技シーンをTVで目にした人がクライミングのファンになってもらうためには解説者の果たす役割が大きいと思うんです。
多少なりともクライミングをかじっている人ならば、そのシーンの意味が解ります。けれど、まだまだ一般的には「クライミングって何?」という方々が大半で、その方々にクライミング・ボルリングの素晴らしさを伝える、選手の身体能力の高さや技術力のすごさを知ってもらうためには、クライミングを知らない人をも意識した解説が必要だと思うんです。
そうしてお茶の間にクライミングファンが増えて行けば、クライミングに対する理解も広がり、選手を取り巻く環境も、もっと改善されていく。わかりやすく、魅力的な解説がされれば、TV見て触発されて「あういうのやりたいな」ってキッズやジュニアも増えるでしょう。そうすれば、ますます日本のクライミング競技の選手層も厚みを増す。
各選手を良く知っていて、特性も知っていて、その場に当たっていらした伊東さんの解説は素晴らしかったんです。これからさらに、どういうふうに進化させていこうとお考えですか?

VIVAtoda_012b.jpg●伊東:まだ、始まったばかりです。スカイAが始まってから3年目。スカイAはクライミングを知らない人もたくさん観ているので、もちろんわかりやすく伝えていきます。けれど、一番意識していることは、ワールドカップは僕自身がずっと出てきた経験から、やはり、その場にいて興奮するし、感動します。勝敗にかかわらず凄いエネルギーをもらえるし、ワールドカップそれ自体が楽しいんです。解説しているんですけど、いち視聴者としても、その場にいて興奮している。解説している人がクライミングを好きで、選手のことも好きで、凄いところに感動して、モチベーションが上がりに上がっている。それを伝えるのが大事ではないでしょうか。いち視聴者として、その収録を楽しみにする。それが一番重要ですよ。
解説する人自らが興奮することです。解説者は会場を盛り上げる立場で観客の代表です。

小玉:視聴者も成長していかないといけないですよね。
●伊東:そうですね。今さら野球のルールを説明しないですよね。視聴者が成長して用語を憶える。カンテっていうのは、ああいうところを言うんだ、と憶えてもらう。選手がカンテをもった瞬間に、「今、左手でカンテつかみましたね」と解説を入れたりしながら徐々に用語にも馴染んでもらう。ホールディングは日本で統一されてないので、ドイツ語ではなく、わかりやすく日本語で言います。他の競技よりも専門用語は少ないですね。
小玉:後は、ホールドの種類くらいですね。
●伊東:形状を説明します。「第一関節で、割り箸をつかむ感じです」とか。なぜ保持が難しいのかを説明したりします。
*スカイA: 衛星放送により配信されるスポーツ・カルチャー番組専門チャンネル。株式会社スカイ・エー(sky・A, Inc.)が運営。http://www.sky-a.co.jp/

小玉:当たり前のように、あきよちゃん(野口啓代さん)、みほうちゃん(野中生萌さん)、男子の選手も、肩以上の高さのところに足をあげて、その足で体を上げる。とてもじゃないけど、普通の人はできない。
●伊東:そりゃそうですよ。

小玉:ふつうの梯子をあがるのに、一段ずつならあがれるけど、三段ごとではできない。そういう時にどういう風に体が反応してそれが可能になっているのかが不思議なんです。知らない人がみたら分からないと思うんですよ。凄さが。
●伊東:視聴者もそこまでは、そんなに理屈っぽく観てないと思うんですよ。野球を観て楽しんでいる人が、選手のフォームやスウィングだったり、どういう技術か、分析することは難しいですよね。選手の表情を観ていたり、ドラマ的なところを観ていたりするでしょう。どんどん映像は流れていくし、僕の言葉もどんどん流れていくので、映像に夢中だと思うんです。そこまで一般の人がひとつの動きに疑問を持つことはないでしょう。まあ、クライマーは分析して観てるかもしれませんね?

VIVAtoda_013b.jpg小玉:選手の特性ってあるじゃないですか?みほうちゃん(野中生萌さん)も、ほまれちゃん(戸田萌希さん)も同系統。パワフル系で、飛びつき系!…。
●伊東:今は、技術としては平均化しています。強い弱いはありますけど。しかし個性は伝えないといけないとは思っています。あきよ(野口啓代さん)の柔軟性とか、保持力。あれは武器です。みほう(野中生萌さん)のパワーは凄いです。背中の瞬発力が、スゴイ。身長が163cmくらいだから、日本人では大きい方ですが、ホールドをなげて体を上に上げる。
小玉:ホールドなげる?どういうことですか?
●伊東:離すということです。
小玉:あまり専門的なことをいっても分からないけど、凄さを分かってもらえる解説は、伊東さん本人もクライマーだったこと、試合経験と、合わせて選手の特性を知っていれば、解説も必ず面白いものになりますよね。
●伊東:そうですね。特にライブは。例えば「今のトライで体力を使ったので、次のトライがラストチャンス、これでラスト一手のギリの勝負」という場面では、解説と選手のトライが重なって面白い。

VIVAtoda_014b.jpg小玉:これからの解説の放送予定は決まってますか?
●伊東:スカイAは、全部です。
小玉:スカイAが放映するのは、どういうのですか?
●伊東:スカイAは、CSのスポーツチャンネルなので、契約しないと観れないです。月に単体で1300円くらいだと思います。
小玉:そのスカイAが放映を予定している大会はなんですか?
●伊東:全日本ユース、6月のジャパンカップ、夏のJOC、BACE CAMPのロックフェスそのくらいですかね国内は。後は、ワールドカップがメインです。

VIVAtoda_015b.jpg小玉:外もけっこうやってらっしゃるじゃないですか?最高グレイドは?
●伊東:14cは、去年3本登って、この春14dを登りたかったんですけど、岡山の岩が常にコンディションが悪くて、トライしに行けてない。この春はムリでした。
小玉:14cは、どこでしたか?
●伊東:14cは、スペインと日本の2つ。マインドコントロールというスペインのルートとニ子山(埼玉県)エリアの「乾杯」と鳳来エリア(愛知県)ムードラです。40歳までに14dを登るのが、ここ2年の目標だったんですけど、8月誕生日なので、もう無理です。

小玉:アウトドアのリアル岩でのクライミングは、インドアの特に競技となると、かけ離れたものがあるかもしれないですが、外岩に親しむことは、どういったアドバンテージがありますか?
●伊東:集中力が上がると思います。ジムでやるような、ホールディングも面でだけとらえて、動きと持ち方を面で効かせるやりかたにくらべて、体が接触している部分の面積が狭いので繊細な感覚です。数ミリのズレで登れなくなるので難しい。そういう感覚は磨かれると思う。その分、ミリ単位なので、集中力もあがる。逆に、飛んだり跳ねたり大会でしか出てこないの要素は、岩場にはあまりないので、外岩ばかり登っていると対応力が間に合わない。そのバランスですね。
ともあ(楢崎智亜さん)も岩ツアーで繊細な足使いやホールディングの繊細さが身に付き、雑な部分がなくなってきました。何よりも岩場は自然の中で気持ちが良いので、リフレッシュできますね。ワールドカップの間で行く岩場は、練習というよりリフレッシュをしにいく感じ。緊張して帰って来た心身が疲れているので、ワールドカップの選手には岩場はよい息抜きになります。

VIVAtoda_016b.jpg小玉:アウトドアクライミングのリフレッシュもそうですけど、地方に指導しに行かれて、温泉ちょっと寄るという別な楽しみがありませんか?
●伊東:そうですね。楽しみとしてはありますね。でも、各地の岩場に行けることの方が楽しいですね。色々な人と話せるのも、全国各地に生徒が増えていくのも嬉しいですね。

小玉:ここのところボルダリングジムの数は首都圏では急激に増えていて、地方でも徐々に出来始めている現状で、最初に指導を始められたころに比べると、一般の人たちのレベルもあがってきたと感じられますか?
●伊東:そうですね。今、ローカルコンペも多いですし、一般の方もコンペを目指したりするじゃないですか?
小玉:こないだ、ほまれちゃん(戸田萌希さん)にお会いした時に、ノースフェースカップに何年か前に出た時は、ストマジが会場だったと聞きました。
●伊東:昔は、ずっとストマジ。地方予選が始まったのは、ワンボルダリングが提唱されてからです。
*ストマジ:クライミングパーク・ストーンマジック(神奈川県相模原市)
*ワンボルダリング:クライマー平山ユージさんが提唱。国内外のクライミング選手の統一ランキングシステムを構築することによって、クラミングを通した世界融和と平和を目指す。
関連URL:http://onebouldering.jp/about_one_front/


小玉
:ウチ(Rock&Wall青山店)でボルダリングを始めた人が2級や初段完登まで上達しているのは、嬉しいです。
●伊東:ボルダーは、瞬発系なので成長が早いですね。

VIVAtoda_017b.jpg小玉:これから画面で伊東さんをお見かけすることが多くなると思います。素敵な解説を期待しています。
●伊東:いい解説ができるよう、頑張ります!
小玉:本日は貴重なお話を大変ありがとうございました。











読み物 VIVA ASOBIST   記:  2016 / 07 / 29

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