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■冷たい熱帯魚 【邦画】




原作 ――
監督 園子温
脚本 園子温
キャスト
吹越満
でんでん
黒沢あすか、神楽坂恵、梶原ひかり、渡辺哲
配給会社 日活

早稲田映画まつりに園子温――最新作『冷たい熱帯魚』をひっさげて登場!
新春のめでたい時分に、このようなタッチの本作を紹介することにいささかの迷いを覚えたのは事実だ。だが、間違いなく本作は日本の映画界にめでたい知らせを今後も数多く伝えてくれるであろう、画期的作品なのである。

小さな熱帯魚屋を経営する社本(しゃもと)信行とその妻、妙子は、娘が犯した万引き行為によりスーパーマーケットに呼び出された。だが、スーパーの店長と知り合いの男、村田幸雄がふいに現れ、彼らの窮地を救う。かくして同じく熱帯魚屋を営むという村田と社本家族との交流が始まるが……。

実際に起きた殺人事件や、監督自身も被害に逢った詐欺事件といった実話をもとに作られた本作。エロでグロでエグい作品は世の中に溢れているが、その多くは殺人装置に莫大な金がかかっていそうだったり、殺人鬼が現実にはそうそう遭遇しないようなサイコ感むき出しの野郎だったりと、どこか非現実的でリアリティーに欠け、観ている最中はそれなりに驚愕もするが終わったとたんに現実に引き戻されるような、エンタメ性を重視した作り物的要素が大きい。
だが、本作はそうした作品とは一線を画する。村田は一見どこにでもいそうな躁オヤジだし、社本家の家庭内不和も現実にはよくある光景だ。そんな、外見は普通の人たちが裏で繰り広げる異常な事態。真面目を絵に描いたような信行が“変わる”その瞬間……それは狂気ではない。異常事態のなか、まっとうな人間がまっとうなことを貫きとおした結果なのだ。ラストである登場人物が発する言葉も、語句どおりに受け取るべきではないだろう。その人物がほんの一瞬垣間見せる表情を、決して見逃してはならない。
また、村田が何度も発する「ボデー(ボディーではない。小さい「ィ」はない)を透明に」の台詞は、後世に語り継がれる名台詞となるだろう。

世に忌まわしいニュース報道は絶えないが、当然、警察が殺人事件をすべて解決しているわけではないし、行方不明者がすぐに見つかるわけでもない。そうしたニュースを目にするたび、本作のあの方法が脳裏に浮かんでしまう。観る人によってはかなり強烈なシーンだが、そこをつぶさに、リアリティーをもって描くことで登場人物のソシオパス的な異常性を絶妙なタッチであぶり出している。その悍ましさは重さを伴って底を打ち、逆に美しさへと昇華せんとばかりに。

ヴェネチアやトロント、バンクーバー他、数々の国際映画祭でもすでに並々ならぬ高評価を得ている本作。これからも快進撃を続けるであろうこの作品は、確実に日本映画史に残る名作。ぜひとも、家でDVDではなく、劇場という閉鎖空間、逃げられない状態でこそ味わっていただきたい。


1月29日(土)より テアトル新宿ほか全国順次ロードショー



(C)NIKKATSU

http://www.coldfish.jp/index.html

記:林田 久美子 2011/01/10