シネマピア

前橋ヴィジュアル系

20110304picm.jpg 群馬県前橋市からちょっと離れた田舎の町。姉夫婦の元で暮らすタクジ(風間俊介)は、昼間は家業の農業を手伝っているが、町に唯一あるライブハウスでその姿を変えて、ヴィジュアル系バンド「プリンシパル」のリードボーカルとして活動している。
バンドのリーダーでリードギターのジュン(黄川田将也)は恋人ミミコ(森下悠里)といつもラブラブ。そしてベースのケン(藤田玲)、ドラムのジュンジ(杉浦太雄)はタクジ同様、家業を手伝いながらいつかはバンドでプロになってやろうと夢は持っているものの、そこはいかんせん田舎町。熱心に聞きに来るファンも20人ほどだ。
そんなバンドに大きな問題が持ち上がる。リーダーのジュンの父親の体調が思わしくないことから、ジュンはバンドを辞めて本格的に家業を継ぐというのだ。彼の言うことに一瞬おもしろくないと思うタクジだったが、夢よりも現実の生活を考えなければいけないことに何も言うことができない。次のライブをやることも考えられないまま、畑仕事に精を出す日々を送っていたタクジは、収穫した野菜を農協に納めた日の夜、彼を訪ねて突然家にやってきたマヨコ(八代みなせ)と会う。
タクジにとっては知らない女性だったが、彼女は農協で働いていて、彼の姿を見かけて一目で「プリンシパル」のタクジだとわかって来たのだった。実は「プリンシパル」の大ファンだという彼女は、自分の生きる希望として「プリンシパル」を応援していたことを告げ、活動休止しているバンドを辞めないでほしいと、その気持ちを伝えるためにやってきた——

監督である大鶴義丹は俳優として活躍しておりますが、その経歴は日本大学藝術学部文芸学科(中退)で、大学在籍中の90年『スプラッシュ』で「第14回すばる文学賞」を受賞、小説家デビューも果たしている。映画監督としても95年、『となりのボブ・マーリィ』にてデビューしており、『私のなかの8ミリ』(09年)など、かなり本格的な監督なのです。この『前橋ビジュアル系』も原案製作から手がけており、なかなかリアルで考えさせられる内容。近年では制作側としての活躍が目にとまるのも頷けます。

20110304pic1.jpg バンドにかける青春映画って結構ありまして、近いところでは『BANDAGE』、『BECK』(いずれも10年公開)などですが、本作の場合はどこか憧れ的なサクセスストーリとはまったく違う、“超現実的”な作品です。等身大の「夢と現実」の間でさまよう人間のドラマ……私事ではありますが、ここ何年かインディーズバンドのライブ写真、アーティスト写真など撮影しておりまして、まさにその現場のリアルがこの映画にはある。
たとえば“対バン”のパンクバンド「鈍牛」のボーカル&ギターの龍二(加藤和樹)。ノーフューチャーな彼にいつもライブハウスではガンを飛ばされているタクジが、意外なところで彼と出くわす。そのシーンなどは、「あるある〜」って叫びたくなる様なストーリー。ライブハウスのマスター(ダイアモンド☆ユカイ)が自分を“ジミー”って呼ばせるところなんかは、マスターの世代の憧れはやっぱりレッドツェッペリンなんでしょう!

バンド名『プリンシパル』は“もっとも重要な”っていう意味もあるんだけど、彼らにとってもっとも重要なことってなんなんだろう……。ヴィジュアル系バンドでプロになって有名になることなのか? 彼らがいくつもの試練に立ち向かって行った先に見えたものは……?
バンド名に付けた『プリンシパル』と言う言葉の本当の意味を彼らは最後に見つけることになる。自分を変えたいとタクジがもがく気持ちと、タクジのいちばんの理解者である姉(吉田羊)のラストの言葉はうなずけるものがあり、そして義兄(宍戸開)の弟を思う気持ちも家族の暖かみを感じさせる。
生きて行くために重要な事ってなんなんだっー!! その答えはきっとこの映画を観終わった後にみなさんの心に響くでしょう。音楽の根っこにあるものってやっぱり○○、なんだよねー!!

あ、そうそう。
主演の風間俊介はTVドラマ『3年B組金八先生』でおなじみですが、レビューの冒頭に出てくるメンバー、彼以外はみんな仮面ライダー絡みなんですよ。気付いてましたか!?
黄川田将也=映画『仮面ライダー THE FIRST』(05年)の仮面ライダー1号……本郷猛ですよみなさん!
藤田玲=『仮面ライダー555』(03年)のドラゴンオルフェノク
杉浦太雄=映画『仮面ライダー剣 MISSING ACE』(04年)の仮面ライダーランス
八代 みなせ=映画『仮面ライダーW FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ』(10年)のヒート・ドーパント
森下悠里=『仮面ライダーW』(09年)の麻生冬実

今度、仮面ライダーの特集でもしますか!! え、映画の内容と違う? 最後の最後にスミマセン……。

原案:大鶴義丹
監督:大鶴義丹
企画:大鶴義丹
脚本:一雫ライオン
出演:風間俊介/黄川田将也/杉浦太雄/藤田玲/八代みなせ/森下悠里/新城隼人/ダイアモンド☆ユカイ/マーティ フリードマン/つまみ枝豆/徳光和夫/Heidi./宍戸開/吉田羊/加藤和樹
配給:ケイダッシュステージ/リンクライツ
ジャンル:邦画
公式サイト:http://www.maebashivisual.com/

© 2011「前橋ヴィジュアル系」フィルムパートナーズ















エンタメ シネマピア   記:  2011 / 03 / 03

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