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【映画レビュー】LAMB/ラム

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羊から産まれた“それ”は、夫婦の生活を一変させた……! 『ヘレディタリー/継承』、『ミッドサマー』、『X エックス』等、話題作を次々と生み出す映画製作会社・A24が新たに世に放つのは、世にも不思議なまるで寓話のようなホラーファンタジー。主演・製作総指揮に『プロメテウス』、『ミレニアム』シリーズのノオミ・ラパスを迎えた本作は、第74回カンヌ国際映画祭・ある視点部門で《Prize of Originality》を受賞し、アカデミー賞・国際長編部門アイスランド代表作品にも選出。平凡な暮らしを送っていた夫婦は、一体“それ”をどうしようというのか……。

北欧の島国、アイスランド。山間でひっそりと牧羊業を営む夫婦、イングヴァル(ヒルミル・スナイル・グズナソン)とマリア(ノオミ・ラパス)は、日々仲睦まじく淡々と羊飼いの仕事をこなす夫婦だったが、ある日、いつものように母羊から取り上げた“それ”は、いつも見慣れた子羊の姿ではなかった。お互いに目を見合わせた夫婦は、“それ”を大切に抱きかかえ、そして……。

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「ノオミ・ラパス史上最高の演技」―スクリーン・デイリー、「A24ファミリーに加わった完璧な作品」--フル・サークル・シネマ、「今年一番の狂った映画」―ジャッキー・クーパー.com......と、各誌から絶賛の声がやまない本作。『ぼくのエリ 200歳の少女』や『ボーダー 二つの世界(http://www.asobist.com/entame/cinemapia/20191007.php)』を生み出した北欧から、また新たな寓話の誕生だ。

ノオミ・ラパスが主演のみならず製作総指揮をも行う気合の入れようからも分かるとおり、本作にはノオミの「愛」がふんだんに込められている。「愛」とひとことで言っても実に多種多様な種類があり、様々な現れ方があると巷では言われているが、本作の「愛」は主に母性愛、父性愛、家族愛、無償の愛だ。だが、状況が状況なだけにその愛は一筋縄ではいかない。真っ直ぐ差し込んできた光なのかと思えば、それはわずかな歪みから屈折し、プリズムのように七色の光彩を放ち、そして危惧していた方向へと曲がっていく。その歪みはとどまるところを知らずに曲がり、曲がり、曲がり、曲がり続ける。影がその光を遮る、その時まで。

スクリーンには終始、要所要所で対象物をど真ん中に配し、左右を対象にしたカットが多見される。とりわけ、十字架のような比率の窓枠は印象的だ。これは何を意味するのか、意図するのか。人知を超えた存在は、神に背くものなのか、それとも神の意志の現れなのか。

"それ"が何なのかについてはそれそのものがネタバレのようにも思えなくもないので、"それ"が明らかに分かる場面写真は掲載を見送った。"それ"がすべての姿を現した瞬間、「えっ」と思うのか、「やっぱり」と思うのか。それも含めて是非、スクリーンに映る"それ"をその目でしっかりとご確認いただきたい。

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監督:ヴァルディミール・ヨハンソン
脚本:ショーン、ヴァルディミール・ヨハンソン
出演:ノオミ・ラパス、ヒルミル・スナイル・グズナソン(『エンジェル・オブ・ザ・ユニバース』)、ビョルン・フリーヌル・ハラルドソン(『イレブン・メン・アウト』、『湿地』)
配給:クロックワークス
公開:9月23日(金・祝)新宿ピカデリーほか全国公開
公式サイト:https://klockworx-v.com/lamb/ 

© 2021 GO TO SHEEP, BLACK SPARK FILM &TV, MADANTS, FILM I VAST, CHIMNEY, RABBIT HOLE ALICJA GRAWON-JAKSIK, HELGI JÓHANNSSON

 


記:林田久美子  2022 / 07 / 09











エンタメ シネマピア   記:  2022 / 07 / 10

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