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はいコチラ、酔っぱライ部
集中させて
2015 / 01 / 20
このところたてつづけに図書館からCDを借りているのはもちろん「無料(ただ)だから」という理由が主だが、その僕が利用している図書館の蔵書(っていうんですかね? CDの場合も)の豊富さには目を瞠るものがある。
たとえば、寄せ集めの音源で構成された編集盤とはいえ、今やネット上での入手は困難、一部では1万円近くのプレミア(もちろんMP3なら一曲150円)がつけられているアリーサ・フランクリン(の「デルタ・ミーツ・デトロイト」)、あるいは録音してはみたもののレコード会社から発売を拒否され、泣く泣く自主制作で作ったという曰くつきのジョン・ハイアットの「クロッシング・マディー・ウォーターズ」など、レンタル・ショップで探してもそう簡単には見つからない盤がけっこう普通に借りられる。
これらが無料で聴けるというのだからありがたい。しかも今はネットで区内にあるすべての「蔵書」から「在庫」を調べて最寄りの図書館へ取り寄せたり、あるいは「貸出中」なら返却を待って、最寄りの館で受け取ることができるというシステムもあって便利なことこの上ない。かくしてこのところ10日に一度は図書館へ足を運ぶ日々が続いているのである。
とはいえ、さすがに普通よりも少し踏み込んだような内容の盤だと、いかな在庫豊富な図書館でも見つけることができない。となると「図書館にはないし、かといって買うまではいかないけれど聴きたい盤」はその取り扱いに困ってしまうのである。
そんなことを思っていた昨年末、原稿を書くための資料を借りようとレンタルショップの「会員の更新」をしたら、「月に一枚無料カード」なるものが付いてきた。これはいい。さっそく何か借りに行こうではないか。
今回は、いつかも書いたことのある「脳の思考と騒音」のお話の別バージョンであります。
「図書館にはないし、かといって買うまではいかないけれど聴きたい盤」とひとくちに言っても、その数はけして少なくない。
近頃ちょっと気になるエラ・フィッツジェラルド風味の女性ボーカル、マデリン・ペイルーやハスキー・ヴォイスのカサンドラ・ウイルソン、あるいは全部買っていたらとても財布がもたないボブ・ディランやスティーリー・ダンなど有名どころの旧譜など、とりあえずデジタルで保管して聴いておきたい盤の数が、とどまるところを知らないのだ。
ところでレンタル・ショップを利用するときに起きるのは「いつか買うかもしれない可能性のある盤」への対応という問題である。
つまりレンタルショップで借りて聴いてみたらなかなかよかったので買うとなると、結果的に1枚あたりのCDに対するコストが上がってしまうから、多少なりとも「買うかもしれない」と思う盤はレンタルできないのだ。
そういうわけで「無料レンタル」の盤を選ぶに際しては、先に書いた「買うまでは行かないけれど(略)」に加えて「聴いてよかったら買うかもしれない盤」も参入してくるので、その選択肢の幅は異様に広がってしまうのだ。かくしてレンタルショップの棚の前では、脳みそに入っている膨大なデータベースと照らし合わせながら、1枚1枚を検分していくという、なかなかに集中力が必要とされる「盤選び」になるのである。
ところが!
このレンタル・ショップの店内というのが激しく騒々しいのだ。
「え〜とマデリン・ペイルー、マ、マ……」などとブツブツ言いながら棚を眺めていると、低い天井に据え付けられたモニター用のスピーカーから
「今週のレコメンド! コモド・ドラゴンのニューシングル『ドンタコス・ラブ』!」
とか、
「黒鯖 彰監督の新作『天目と遅刻』が初DVD化! 謎の犯人をラーメン刑事が追う、爆笑の問題作が当店のみの特別レンタル開始!」、
あるいは
「無限ダンジョンを死にものぐるいで逃げろ! 新作RPG『ドラゴン・ゴンドラ』いよいよレンタル開始!」
(以上、内容はすべてワタシの捏造です)
なんていうセリフが、ひっきりなしに大音量で放たれるのである。
記憶をたどりながら棚を眺めていても、思考がズタズタになってまとまらない。「ボブ・ディラン」を手に取ろうとして、間違えて「ホフ・ディラン」を取ってしまったり(嘘)、「モリッシー」を探していて思わず「森進一」の棚の前に行ってしまう(嘘です)、なんてことが多発する。
挙げ句の果てに「♪♪ありの〜ままで〜♪♪♪」などと、フルコーラスも聴いたことのない、正直あまり聴きたくない曲を耳にねじ込まれて、ここまで来るとなんだか一種の拷問を受けているような気分になってくるのだった。
加えて歌だけならまだしもその楽曲と楽曲の間に、先ほど書いたような「情熱と感動の最新作! DJマサオがお送りしました!」なんてMCが入ってきて鬱陶しいことこの上ない。
思うに、あれらすべてが日本語だからそのまま脳に強制的に流れ込んでくるのであろう。あれがタガログ語やポルトガル語だったら何も気にせず棚を検索できるのだが、日本の店舗である以上それは望めない。次に来るときには必ずやヘッドホンを装着してこようと決意した次第であります。
しかしこれ、いつかここでも書いたアレに酷似している。そう。プロ野球の球場で攻守交代の時にながされるDJ風味のアナウンス、「さ〜〜〜〜あ! 5回裏の攻撃は好打順、4番ベラスケスからだ! 力いっぱい応援しよう!」というアレである。
いつから日本はこういうDJ文化主流になったのであるか。そういえばウインター・スポーツであるあの「ジャンプ」も、ニュースや中継を見ていると場内では「このジャンプに期待しましょ〜! 来た〜!127.3ポイント〜!」とかしきりに叫んでいる。
あれ、素人目で思うんだけど飛んでる方はうるさくないんだろうか。よく聞くと2人か3人の声が重なっていたりするし、ああいう声のせいで気が散る、なんてことはないのかと心配になってしまう。
まぁ集中しているから大丈夫なのかもしれないし、耳栓をしているのかもしれない。考えてみれば、現地であれを見物していたとして、もしああいう場内の音声がなくて、ただただ次から次へと人が飛んでくるだけでは、もしかしたら素人には「試合の内容」がよくわからないのかもしれない。
だからある意味「必要(悪とまでは言わないけれど)」なものなんだろうとは思う。それにしても「口調が一律」なのが気になるのだ。
なんていうか、「カビラJ」っぽいと言うか、「松岡修造」的というか、なにかこう過度に熱を帯びさせようという「意図」が見えて仕方ない。そういう「故意のバイアス」はどこか不自然だし、不必要である気がしてならないのだ。
ひるがえってレンタル・ショップの店内放送、あれもスキー・ジャンプの場内放送に似て無駄に熱っぽい。年末商戦で「購買意欲を燃え立たせようとする」スーパーさながらに、何か「不自然にレンタル意欲を鼓舞」しようとしているのだとしたら、むしろその邪魔をしているように思えるのは僕だけだろうか。できればもう少し「穏当」な店内放送にして、何を借りるか真剣に検討するのを邪魔しないでほしい、と提案するものであります。
と、「なにもレンタル・ショップでそれほど真剣に考えるヤツなんかいないよバカ」といわれたらおしまい、な今回のかんたんレシピは「酔っ払いのツマミめぐり」。
な?んで酔って帰ってくるとよけいなもの食べたくなるかなぁ。という「酔ったときのラーメン現象」に代表されるアレの話です。
またあの酔っ払ってむさぼり食うカレーとかラーメンがうまいんだよね。翌朝はかならず胸焼けと「脳みその奈良漬け」ができあがると知っていても、食べてるときは「ぜったいダイジョブ!」と思ってるんだよな。クワバラクワバラ。
皆さんそう言うことにはチウイしましょう、とか言ってもお互いぜったいやるよな! な!? と激しく同意を求めて今回もこの辺で。
次回は2月3日更新の予定です。
【Panjaめも】
●アリーサ・フランクリン「デルタ・ミーツ・デトロイト」
●ジョン・ハイアット「クロッシング・マディ・ウォーターズ」
●スキージャンプ 場内放送
●スキージャンプ 場内放送(海外版)
スキー・ジャンプに関して言うと日本だけじゃないですね。外国でもやっている。
なに言っているのかわからないけど。
●私、あの「まぐまぐ」でメールマガジンを発行しております。
「モリモト・パンジャのおいしい遊び 」
こちらでサンプル版もご覧になれます。
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