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はいコチラ、酔っぱライ部
会社できました
2015 / 03 / 17
妻が会社を立ち上げた。本業の「絵描き」の仕事と並行して製作していた和装小物を少しでも多くの人に知ってもらおうというのが目的だ。もちろんとても小さな会社なので社員(兼・社長)は彼女ひとり。僕も雇ってもらおうと思ったけれど、どうやら当面は給料がもらえそうもないので丁重に辞退した。
立ち上げるにあたってMさんという行政書士の指導を仰いだ。ともかく「社会性ゼロ」ということにかけては誰にも負けない夫婦なので(威張っちゃいけない)、できることなら彼に一切合切任せたかったのだけれど、ここは社会勉強のつもりで二人で動いてみることにした。
まだ道半ばだけれど、その課程をちょっと備忘録として書いておく。
奥さまの会社設立に忙しい、そんな日は「なんちゃって酢豚」をどうぞ
作ったのは「合同会社」。以前に小規模法人として一般的だった「有限会社」という形態が廃止されて、現在もっとも軽便な会社形態として設定されているのがこの「合同会社」だ。
軽便・簡易といってもかなりの手間がかかる。まず必要なのは書類と印鑑。印鑑は、「代表者印」・「会社実印」・「社印」の三つ。本当を言えば社名と会社の所在地、代表者名を表す「社印」はなくてもいいのだが、何かにつけてこれをフル・バージョンで書く必要があって、その面倒を避けるために作るのだ。もっとも一般的な「合同会社設立セット」と呼ばれて印鑑の会社によって製作・販売されるのがこれ。ネットから注文して早ければ翌日には届けてくれる。
そのハンコができあがったら法務局へ行き、会社を登記するために下に列挙したこれらの書類を所定の書式に沿って記入、作成して提出する。
・合同会社設立登記申請書(必須)
・登記用紙と同一の用紙(必須)
・定款2部(会社保存用と法務局提出用)(必須)
・代表社員の印鑑証明書(必須)
・払込証明書(必須)
・印鑑届出書(必須)
・本店所在地及び資本金決定書
今この文字群を見ただけでクラクラする。「もっとも簡単」と言われている形でこれだ。詳細を書くとケースによって異なる部分が多少あるけれど、おおむねこれですべてである。しかもこれで「法律的に会社として登録された」とはいえ、これから税務などの業務を行なうためにこれからまだまだ「書類」を提出しなければならないのだ(イマココ)。
そんなわけで行政書士Mさんの指導を仰ぎながら、指摘してもらった注意事項や、書類の記入に際しての留意点が書かれた書類、さらに設立のための作業工程表などなどを整理しながらここまで来たわけだが、それらの書類を入れた高さ30cm、縦30cm、幅40cmの段ボールの箱はすでにいっぱいである。
かつてデジタル機器の隆盛とともに、「ペーパーレス」の文言が社会に飛び交ったのはいつのことだったか。そして「手続きも欧米同様『サイン』による簡素化を進めよう」というようなムーブメントが叫ばれたのは何年くらい前のことであったか。
今になってみるとどちらも「一過性」の動きに終わって、今「公的」に行なわれている「手続き」にはやはり圧倒的な紙の量と、そして「簡単にしよう」という意図が多少なりとも見えるとは言え、いまだ「印鑑証明」やら「登録証』の必要な「証明書・登録証」の類いが必要で、「軽便化」が叫ばれるようになるより前の、かつて「有限会社」があった頃の状況となんら変わっていないように思えるのが不思議である。
そこでついついあの環境問題に端を発する「ペーパーレス」やら「軽便化」の動きはもしかしたら「デジタル機器」の販売促進を層化させるための「方便」だったのではないかと考えてしまう。つまり、今やそんなデジタルの機械も必要とされるところにはおおむね行き渡ってしまい、これ以上の「販売数拡大」が望めないので「ペーパーレス」やら「エコ」はもうどうでもよくなったんではないか? とあの社会の動きは誰かが意図的に仕掛けたことのように疑ってしまうのである。
これは絵を描いていてもそう思う。実際の作業に使う紙の枚数を数えているわけではないし、あるいは僕が「旧タイプ」のイラストレーターで、紙に書いた絵をスキャニング等、デジタル形式に置き換えて仕上げる方法をとっているせいかもしれないけれど、実感として紙を使う量がデジタル化が進んだために、昔よりかえって増えているような気がするのだ。
そう考えていくと、こと「社会的トレンド」と目されているものは、何かの「モノ」を売るために半ば「仕掛けられた方便」であるように思えてくる。もっとも「広告・宣伝」の類いというのは元来そのためのものだから、落語「蝦蟇の油」よろしく「売らなくてもいいものを売る」くらいの意図や手練手管があって当然で、問題とされるのはその本質を隠そうとする「下心」、つまり「嘘」だ。
貼れば室内の気温が10度下がる、といって売っていた商品が「効果なし」と判明した例の「断熱シート」問題や、一時話題に上った「偽装」問題などはその最たる例だろう。
売る側にとってそれが「自信の製品」という自負もなく、ともすれば「要らない製品」、「要らない音楽」、「要らない食べ物」と知りながら、それらを売るためにはどうしたらいいのか、と日夜考え続けている人達がいるのではないか。
もしいるのなら、こちらはその「方便」に乗らぬよう努力すればいいのだが、なかなかそれもむつかしい。いつの日にか「文明はあっても文化のない世界」が来るような気がしてそれがいちばん恐ろしいのだが。
あまりの手続きの煩雑さに戸惑い、必要な書類や印影が整っていないことに気づいて役所や銀行へ向かう途中から自宅へ戻ること数回。腹いせにこんなことを考えている、ようやく少しだけ寒さの緩んだ春の夕暮れであります。
てなわけで今回のかんたんレシピは「なんちゃって酢豚」。「豚と野菜が入っていて甘酸っぱければ文句あんめ?」と言うくらいの雑な一品です。これがあんがい旨い。お好きな方は「パインアップル」の缶詰でも入れると1ミクロンくらい「本格的なんちゃって」になります。もっとも周囲には酢豚にパインアップル入れるのが嫌いな人多いけどね。
ところで冒頭で書いた妻の会社「富士商会」が表参道交差点近く、「キューブ・ギャラリー」にてお披露目中。ご用とお急ぎでない方はぜひどうぞ。夕方行くと白ワインの一杯くらい出してくれるかも(w
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