はいコチラ、酔っぱライ部

最終回/再生不能の山

2015 / 06 / 23

先日ちょっと仕事上の必要があって、30数年前に録画した映像をVTRテープから焼いたDVDで再生しようとしたと思っていただきたい。幾多の段ボール箱からお目当てのディスクをようよう探し出してやれやれと思ったのもつかの間、再生しないのである。ディスクをドライブに入れると自動的に立ち上がるはずのアプリケーションが起動しないのだ。

おかしいなぁ。ずいぶん前にDVDの再生用アプリは入れてあるはずなのに……とリストをのぞくと、何とインストールされていない。どうやら2年ほど前に今のマシンへ移行したときに入れ忘れたらしい。

ということはこの2年間、仕事場で映像記録ディスクを再生しなかったということである。つまり映画も落語も音楽も、こと映像に関する限り手持ちのDVDディスクでは一度も見なかったのだ。

近頃はなにか映像を見たいと思うとWEBを探せばたいていの映像は出てくるし、場合によってはライブの映像や映画が1本丸ごと見られる、なんてことも珍しくない。

いつだかピーター・セラーズ主演の「チャンス」(原題Being There)という映画のことを思い出し、検索をかけてみたら、何と丸々1本見られてしまっておどろいたことがある(今はもう見られなくなっています)。

先日は同年代の友達がCDを再生してたら若い人に「古い」と笑われた、なんて話も聞いた。今はHDD、あるいはポータブルオーディオプレーヤーにDL音源を入れて聞くのが主流と言うことだろう。さらに将来はそんなこともせずにクラウドに音楽のデータを置いておき、そこにストレージした音源を自由自在に聴く、なんてことになるらしい。

かくしてアナログ盤、カセットテープ、VTRテープ、LD、MD、VHDとパッケージ消滅の歴史に、いずれCDが加わることは間違いなさそうだ。この勢いで行くと今はまだ想像できないけれどDVDだって消えてしまう可能性だってある。いや、すでにBlue-rayの登場でもうその存在も危うくなっているのかもしれない。

と、考え込んでしまった。

ということはせっせとVTRテープからDVDに焼くことも、あるいはHDDに収納した音源をCDに焼くことも、もしかしたら無意味なことなんではないか。今でこそ再生装置は動作するので問題はないけれど、いずれCDもDVDも消えたとき(それは要するにそれらの再生装置の生産・サポート終了を意味するわけで)、今していることすべてが徒労に終わってしまうのではないか、と思ったのだ。

すでにMDとカセットテープはその憂き目に遭っている。つまり音楽だけでなく、落語や講談、漫才、浪曲などが録音された膨大な量のMD、カセットテープを前にボー然としているというのに、これからその「再生不能メディア」がさらに増えると言うことである。

どうすんのよこれ。また将来出てくるであろう新しいパッケージに移動するの? もうちょっと付き合いきれないなぁ。今あるものが再生できなくなったらあきらめるしかないよなぁ、とボンヤリしてしまった。

かくしてインターネットという巨大なシステムの登場は驚くべき変化をもたらした。上に書いたようなメディアのパッケージは消え、新聞の購読者数も減り、テレビ視聴時間数も減少していると聞く。雑誌や書籍も消えそうだ。メディアの構造が変わる。メディアだけじゃない、人間の生き方だってすでに変わっているかもしれない。

文章を書くこと。絵を描くこと。それは脳の感覚と思考を駆使して、自分の指の筋肉をうごかして行う作業だけど、そのできあがった作品も手に取ることのできるものではなく、いずれクラウド上のデジタル信号に変わってしまいそうだ。

2011年10月、あの震災から半年ほどたった頃に始まったこの連載。この4年弱の間にもいろんなことがありました。2012年にはロンドン五輪が開催され、Windows8が登場(これでWindows7がなくならないうちに、と思ってマシンを新しくしたんだった)、2014年にはブラジルでサッカーのW杯も行われました。

世界のあちこちではずっと戦争をしていたような気がするけれど、そんな中いやな出来事や不幸な事件から目を離したとき、お気楽に読んで、さらにおいしいものを食べてもらえれば、という気持ちで書いていました。

それはWEBマガジンというメディアで書く、とはどういうことか、そんな勉強をさせてもらった3年8ヶ月でもありました。永い間読んでくださった皆さんありがとう。担当の松本さん、ご苦労様でした。

またあまり意味のないことばかり勝手気ままに書いていたのに続けさせてくださったasobist.comならびにコダマコーポレーションさんにも深く感謝いたします。ありがとうございました。

最後に「かんたんレシピ」のベストショットをいくつかのせておしまい。

Panja_saisyu.jpg
思えばこんな風に文章を書き、絵を描いて見てもらえる環境など20年前には考えられなかった。だからこの先、WWWという環境が、いやインターネット環境すらどう変化するかを単なる書き手が予測することはむつかしい。でも書く(描く)という行為自体は変わらないはず。

今とはまったく異なる思いもよらない閲覧ツールが出てくることだってあるでしょう。もしそれまで僕が書き続けて、描き続けていられたら、いつかまたその新しい場所でお目にかかりましょう。



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