ikkieの音楽総研

第66回 ロック映画編 ロッキー・ホラー・ショー
――70年代の英国ロック満載、愛すべきイカれ映画

2012 / 12 / 11

前回予告したとおり、しばらく俺のオススメ映画を紹介していくわけですが、映画を選ぶ際の自分ルールを決めてみました。まず、バンドやロックがテーマの映画であること、かつ、ドキュメンタリーでないこと。あとは、アーティストが俳優として出演していても、内容が音楽ものでなければNG、とかね。デイヴィッド・ボウイ が出てるからといって、『戦場のメリークリスマス』は紹介しません。ただ、このルールに当てはまらなくても「ロックファン必見!」っていう映画があったりするので、そういうのは紹介していこうと思います。つまり、ルールはあってないようなもの……ということですね(笑)。今回はさっそくそのルールから外れて、バンドは出てこないけどロックな映画、『ロッキー・ホラー・ショー 』を紹介します!

rocky.jpgロッキー・ホラー・ショーは75年公開のイギリス映画。観たことがなくても、そのタイトルや真っ赤な唇の写真(ジャケット写真参照)を知ってる人は多いんじゃないかな。ホラー映画に分類されてるみたいけど……ちっとも怖くない(笑)。もともとは舞台で上演されていたミュージカルで、それを映画化したものなんだけど、カルト的な人気があって、映画館にはキャラクターのコスプレをしたファンが集まり、映画を観ながら全員でお約束の突っ込みをしたり、一緒に歌ったり、というライヴさながらの状態になることでも有名です(これ、日本でもそうなります)。

内容はなんというかイカれてて(笑)、シュールだし、ナンセンス。ブラッドとジャネット(若き日のスーザン・サランドン!)のカップルが、恩師に婚約の報告に向かう途中に道に迷い、電話を借りようと訪ねた古城で、とんでもない経験をする……というストーリー。まあ、それだけならよくある昔ながらのホラー映画の設定だけど、その古城には一人としてまともな人がいないんだよね。古城の主、フランクン・フルターは、ランジェリー姿にハイヒールという凄いルックスで、バイセクシャル。人造人間の筋肉隆々なブロンド美青年ロッキーを作り出します。そのロッキーは、なぜかずっとパンツ一枚で頭悪そうだし、召使いのリフラフ、マジェンタ、コロンビア……全員がエキセントリックで、ミュージカル嫌いな人が苦手であろう、いきなり歌いだすシーンも違和感がない(笑)。

そして、その歌われる楽曲には、70年代ブリティッシュロックの魅力が満載! デイヴィッド・ボウイやSWEETMOTT THE HOOPLE なんかが好きな人はきっと気に入ると思う。俺はたまらん。下品でお子様には聴かせられないような歌詞ばっかりだけど(笑)、明るくてもどこか哀愁があるメロディは、英国産ならでは(アメリカの大スター、ミート・ローフ <なぜか日本で人気が無い>も出てるけど)。そういった楽曲の魅力も手伝って、この映画はロックファンにも凄く人気があるんだよね。ちなみに、俺はブロードウェイでミュージカル版を二回観たんだけど(自慢)、ジョーン・ジェットセバスチャン・バックが出演してロックな歌を聴かせてくれたし、日本ではローリーさんや古田新太さんなど、ロックな(一癖ある)人たちが演じていたりします。

ローリーさんや古田新太さん(大槻ケンヂさんも小説やエッセイで取り上げています)、という名前に、ピピっとくる人もいると思うんだけど、やっぱりどこかマニアックで、風変わりな人たち(失礼)に支持されている映画でね。倒錯したデカダンな世界観は、一般には受け入れられにくいだろうけど、ストーリーの根底に流れる、異質な存在であること、他人と相容れないことへの悲しみや愛情は、ある種の人には響くのでは。「俺はその辺のやつとは違うんだ」とかいう選民意識じゃなくて、もっと自分を卑下した、醜い感情を持ってしまう人は、「俺と同じだ!」って叫びたくなるかもしれない。バカ映画的な表層部分だけを見られちゃうことも多いかもしれないし、それはそれで間違いじゃないから別にいいんだけど(笑)、自分のコンプレックスと重なったりすると、きっと、忘れられない大切な映画になるだろう。ロッキー・ホラー・ショーのファンは、『パイレーツ・オブ・カリビアン』が好き(いい映画ですが)とか、そういうのとは違う種類の愛情をこの映画に持っているはず……。

ジョニー・デップ繋がりでひとつ。この映画、リメイクしたりしてほしくはないんだけど、そのうちティム・バートンがデップ主演でやりそうな気がしてならないんだよねえ(それで雰囲気が想像できるかな?)。二人とも絶対ファンだと思うんだ。で、観てみたい気もするけど、売れないでほしい(笑)。メジャーになってほしくないというかね。ま、ハマるとそういう気持ちにさせられる映画です。スキモノを自覚している貴方にオススメしますが、Enter at your own risk……、危険は承知のうえでご覧になってくださいね。




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