ikkieの音楽総研

第341回 俺らの音楽編 Isolated Tracks ―― こんなことやっていいのと思いつつ、聴かずにはいられないアイソレーテッド・トラックの魅力

2023 / 06 / 27

2010年の6月15日に連載が始まったikkieの音楽総研ですが、今回の更新でなんと丸13年になりました! いやー、あれから13年経ちましたか……。連載が始まったころはまだ30代だった俺も、もう50代ですよ、50代。いやほんと、長いこと続けさせてもらって感謝、感謝ですが、我ながらよく続けていると思います。たまに自分を褒めてあげないとね。よく頑張った、俺! さて、今回の音楽総研は13周年記念……ではなく、通常通りかな。YouTubeでよく見かけるアイソレーテッド・トラックの動画についてあれこれと。これ、すごく興味深いんだけど、いろいろ思うことがありまして。

アイソレーテッド(Isolated=分離した、孤立した)・トラックというのは、すでに出来上がっている音源から歌やギターなんかの楽器だけを抜き出したもので、その音源がYouTubeにたくさんアップされています。ギターの演奏だけが抜き出されていると、他の楽器とミックスされてよく聴こえなかった細かいフレーズなんかが聴こえるし、コードも聴き取りやすい。歌の場合だと息遣いなんかがはっきり聴こえて、すごく生っぽく聴こえたりもします。自身が楽器を演奏したり、マニアックな音楽ファンだったりしなければ興味がないかもしれないけど、ギタリストでマニアックな音楽ファンでもある俺は、好きな曲の新しいアイソレーテッド・トラックがアップされると、けっこうな頻度で視聴しています。やっぱり面白いんだよね。

その面白さを話す前に、そもそもなんでそんなものが出回っているのかというと......まあ、そういうことが出来るソフトが簡単に手に入るようになったから、だろうね。簡易的なものだったらスマホでもすぐに出来ちゃうし。こういう動画が最初に出回ったころは、もしかするとスタジオの誰かが悪さをして録音データが流出した、なんてこともあったのかもしれないけど、今はソフトの性能もかなり上がっているし、ソフトを使って抜き出したものがほとんどだと思う。......そういえばつい最近、AIを使ったビートルズ の新曲が発表されるというニュースがあったけど、これはAIがビートルズっぽい曲を作曲したとかではなく、生前のジョン・レノン のデモテープから、そういうソフト(AI)を使ってジョンの歌声だけを抜き出して、未発表曲に使うってことらしい。前に同じことをやろうとしたときは上手くいかなかったみたいなんだけど(ノイズがひどかったとか)、現在の技術では高いクオリティで出来るようになったと。すごいねえ。


WHITESNAKE 『Still of the Night』
この曲のオリジナルはかなりリヴァーブ成分が強くてギターソロの細かいフレーズが聴き取れなかったりしたんだけど、
これははっきり聴こえるね。ソロ前のスローパートも、こんなふうに弾いてたんだ! ってびっくりした

 


で、そのアイソレーテッド・トラックを俺がなぜ好んで観ているかというと......、俺はギターのやつばかり観ているんだけど、やっぱりそれぞれのプレイがはっきりと聴き取れるのがすごく興味深くてね。こんなふうに弾いていたのかとか、ここまでクリアな演奏をしていたのかなんていう驚きがすごくある。例えば、オジー・オズボーンの『Bark at the Moon 』なんかは、もともとのプレイの難しさにくわえて、キーボードや他の楽器と混ざってギターが聴き取りにくい箇所がたくさんあって、ジェイク・E・リー本人が最近になって細かく解説するようになるまで、どうやって弾いているかがはっきりとは解明されていなかった曲なんだけど、ギターだけを抜き出したものを聴くと、なるほどこうやって弾いていたのか、という発見がいくつもあった。これ、この曲を一生懸命コピーしていた学生時代に聴きたかったなあ。ずっと間違えて弾いていたじゃないか。

オジー・オズボーン 『Bark at the Moon』
ザクザクしたリフの刻みが凄い! このころのジェイクはほんとうまいよね。
そして、ソロのラストでダブリングしてたの気付いてなかった......

 


VAN HALENなんかは楽器編成やサウンドのミックスがシンプルなこともあって、もとからギターはよく聴こえるほうだけど、やっぱりギターだけ抜き出したものだと細かいところまではっきりと聴き取れるんだよね。だからといって完璧にコピー出来るかどうかはまた別なんだけど。そして、ギターだけで聴いてより際立つ、エディ・ヴァン・ヘイレンのリズムギターの上手さ! これはジェイクにも言えるんだけど、ギターだけで聴いてもグルーヴがあって、それだけで曲が成立するくらいのレベル。どうしてもギターソロに注目が集まりがちだけど、ギターヒーローはやっぱりリズムギターもすごいんだよね。とくにエディは別格だと思う。

VAN HALEN 『I'm the One』
エディはどの曲にしようか迷ったんだけど、リフのドライブ感がすごいこの曲を。
これ、頭から最後までパンチインなしで通して弾いてるんじゃなかろうか......

 


さて、そんなアイソレーテッド・トラックですが、ギタリスト......というか、ギターキッズとしてはすごく楽しんでいるんだけど、音楽を作る側としては、ちょっと微妙だなとも感じています。自分が意図していない形で他人に聴かれるのってどうなんだろうね。だって、本人は歌や他の楽器とミックスして聴かれる前提で演奏しているはずで、レコーディングしている時はこんなに丸裸にされた状態で聴かれるなんて想像もしていないよね。アイソレーテッド・トラックは、言わばばっちりメイクの人がすっぴんをアップで見られているようなものでしょ......。俺だったら嫌だなあ。まあ、いまのところ俺が視聴した人たちは、すっぴんでも十分に耐えうるどころか、素材そのものの魅力を再発見させてくれるような人ばかりですが。



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