BacchusうなぎのBar-Hopping

本日の1杯 vol.4【シガーをくゆらせながら堪能する芳醇な山崎シェリーカスク】

2009 / 04 / 06

仕事が終わって帰宅する道すがら、視線は常に左右にせわしなく動いている。もちろん、入ったことがないバーを探すためだ。場所は恵比寿だが、普段あまり行かないブロックをさまよっていたところ、渋い看板を見つけた。「BAR 五」。この店名だけで、もうオーセンティックバーということがわかる。誘蛾灯に惹かれるように、ふらふらと階段を下りる。

vol.04_01.jpg 重厚な木の扉があり、酒樽が両脇に並ぶ。店名の「五」という文字がライトアップされ、雰囲気たっぷり。とはいえ、ドアの両脇がガラス張りになっており、一見さんが入りやすいようになっている。ということは、オーナーさんはそれほど頑固な人ではないらしいと判断。だが、軽くならないラインで、センスを感じる。ドアの上に換気のためのスペースが空いている。タバコ以上に煙の量が多いシガーが吸えるのだろうか? などと、一瞬で色々なことを想像してしまう。

ドアを開くと、店内は暗め。バックバーに目を飛ばすと本数はそこそこだが、ラインナップは好みのようだ。ビンゴ! もう飲む前から当たりを引いたことが分かる。こんな店では、当然カウンターに座る。BGMにはジャズが静かに流れ、ドアと同様に、カウンターや柱にも重厚な木材を多用している。

さて、1杯目。この木材に囲まれた雰囲気に当てられてか、ウィスキーのストレートを飲みたくなった。そこで珍しい瓶が目にとまったので注文することに。日本が世界に誇るサントリーの「山崎」。そのシェリーカスクだ。シェリーを作った樽で、ウィスキーである山崎を熟成させたもので、数種類の樽をバッティング(混合)して作っている。カスク、と名付けられているが、カスクストレングス(樽出し)ではないのでアルコール度数は普通。

芳醇な香りを楽しみながら一口。口当たりはフルーティで、カカオのような深みもある。カスクストレングスではないとはいえ、度数は48度。仕事終わりの体に染み渡る。そうしたら、マスターがチェイサーは常温でいいですか? と聞いてきた。チェイサーとは、追いかける者、という意味で、ウィスキーのストレートを飲んだ後に続いて飲む水のこと。私はあまりチェイサーを飲まないが、常温でというのが渋い。一般的には氷を入れるが、温度差があるとウィスキーの味が変わって感じられてしまうのだ。

vol.04_02.jpg さて、そこでシガーありますか? と聞いたら、なんとシガーリストが出てきた。シガーとは葉巻のこと。映画などでマフィアが口にくわえているのを観た人も多いはず。人によっては刑事コロンボが加えていたのを思い出すかもしれないし、プレデターのA・シュワルツェネッガーをイメージすることもあるだろう。そんな非日常的なイメージのあるシガーだが、実は普通に手に入る。私は20歳のころから葉巻にずっぽりはまっており、酒と同様に愛してやまない嗜好品だ。1日1本までと心がけているものの、時々2本目に手を出してしまうほど。

葉巻は、基本的には煙を肺に入れずに吸うのが、紙巻きタバコと違うところ。大きさによって、1本で30分から2時間は吸えるのも特徴。価格は1000〜3000円がボリュームゾーンだ。1時間の至福がこの価格なら、安く思える。選んだのは世界最高の銘柄と言われているキューバ産の「コヒーバ」。長さは13センチほどの「シグロ2」というタイプで、価格は2300円也。手持ちのシガーカッターで吸い口を切り、シガー用の長いマッチで先端をあぶり、ゆっくりと火を付ける。紫煙がふわっと漂い、じーんと充足感が広がる。ウィスキーがさらに美味しく感じる。芝居がかって馬鹿だと思われているかもしれないが、目をつぶって煙りとウィスキーのマリアージュだけに全感覚を傾けるのが好きだ。毎日のこととはいえ泣けてくるほどの幸せを感じる。

ふと気がつくと、あっという間に飲みきってしまったので、次の一杯はおまかせ。「シガーにぴったりで、短くなって味が強くなっても合います」と作ってくれたのはラスティネイル。そう、シガーは短くなるほどに、味が濃く、強くなってくるのだ。わかってらっしゃる。ラスティ・ネイルはスコッチ・ウィスキーとドランブイというウィスキーをベースに蜂蜜などを交えて作ったリキュールのカクテル。マスターが選んだウィスキーは、シーバス・リーガルだった。錆びた(ラスティ)釘(ネイル)との名の通り、赤茶色の液体が出てくる。氷を入れたロックスタイルなのでコースターが出てきたが、それが革製で「五」とロゴが入ったオリジナル。ラスティ・ネイルとコヒーバのマッチングも最高の一言。一気飲みしないように、ゆっくりと楽しむ。

そこで、マスターに店名の「五」の由来を聞いてみたら、西川大五郎さんの名前からというストレートなお答え。確かに、カウンターの中の西川さんからは静かな迫力を感じていた。ご自分の名前を冠されたお店だったとは。羨ましいにもほどがある。今宵はまた一つ、ホッピングする先が増えた。


【BAR 五】
東京都渋谷区恵比寿西1丁目8-2
ウエストパレスビル B1F
TEL:03-3463-3968












連載 BacchusうなぎのBar-Hopping   記:

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