BacchusうなぎのBar-Hopping

本日の1杯 vol.7【若い刺激から芳醇な逸品までカリラを堪能する】

2009 / 04 / 30

ウィスキーは、銘柄の種類が多いだけでなく、カテゴリー分けも細分化・多階層化している。バーカウンターで蘊蓄を垂れる必要は全くないが、飲むときに知っておくと味を体系化して楽しめるし、女性に無邪気に質問されたときもわかりやすく正確に答えられる。ビギナーにもわかりやすいように、ざっくりと紹介しよう。

まず誰でも知っているのが、バーボン・ウィスキーとスコッチ・ウィスキー。これは産地が由来で、それぞれアメリカのケンタッキー州バーボン郡やスコットランド産ということになる。バーにある多くのウィスキーがこの二つに含まれるが、当然他の産地で作られるウィスキーもある。有名どころでは、「C.C.(カナディアン・クラブ)」などのカナディアン・ウィスキーや「ジャック・ダニエル」などのテネシー・ウィスキー、アイルランドのアイリッシュ・ウィスキーなどがある。日本にも世界に誇るウィスキーが存在する。「山崎」や「白州」は、もちろんジャパニーズ・ウィスキーだ。

vol.7_01.jpg ここで面倒なのが、産地以外に材料から付けられたカテゴリーもある点。麦芽を使ったモルト・ウィスキーやライ麦を使ったライ・ウィスキー、トウモロコシを使ったコーン・ウィスキーなどがある。トウモロコシや小麦、ライ麦を使うとグレーン・ウィスキー、モルト・ウィスキーとグレーン・ウィスキーを混ぜるとブレンデッド・ウィスキーと呼ばれる。

麦芽を原料とするスコッチは、モルト・ウィスキーとなるが、さらに細かく分類されている。一番有名なのはシングル・モルト・ウィスキーだろう。これは、樽詰めしたウィスキーを他の種類の酒と混ぜずに瓶詰めしたもの。製造した蒸留所の個性が際だつのが特徴で、日本でもファンが増加中だ。

複数の蒸留所のモルト・ウィスキーを混ぜたものはヴァッテド・モルト・ウィスキー、モルト・ウィスキーとグレーン・ウィスキーを混ぜた者をブレンデッド・ウィスキーと呼ぶ。

筆者がはまっているのは、「アイラ」と呼ばれているウィスキーだ。アイラとは、スコットランドの南西に位置する、広さ600平方キロメートルの島の名前だ。ここで作られる、シングルモルト・ウィスキー(当然スコッチ・ウィスキー)は、ピート(泥炭)の香りを持つのが特徴で、アイラ・ウィスキーと呼ばれる。若い頃は味がわからずバーボン命だったが、数年前からどっぷりはまって抜け出せなくなった。

アイラ島のウィスキーで有名なのは「アードベッグ」「ラフロイグ」「ラガヴァリン」「ボウモア」、そして「カリラ」などがある。普通に頼んだときに出てくるのは、それぞれ蒸留所が作るオフィシャルボトルだ。カリラなら12年ものとなる。その上に、18年ものや加水せずアルコール度数の高いカスクストレングスがある。

毎日、浴びるようにアイラを飲んでいるので、当然この3本も飲み慣れてしまっている。しかし、それ以外を飲みたくない気分の時もある。そんな時に飲むのが「ボトラーズ・ウィスキー」だ。これは、蒸留所が詰めた樽(カスク)ごと業者が購入し、独自に瓶詰めしたもの。

蒸留所では、大量に製造するため、味を均一化させている。実は同じ銘柄で同じ熟成年数でも、樽ごとに味わいが異なるので、複数の樽を混ぜて味を調えているのだ。ボトラーズの銘柄は、一つもしくは少ない数の樽を使っているので、オフィシャルとは違うテイストを楽しめる。一般的にオフィシャルものより価格が高いうえ、必ずしも美味しいというわけではないが、その銘柄のファンなら垂涎の品だ。

とはいえ、あまり頻繁に飲まれるお酒ではないので、数本しか置いていなかったり、そもそも扱っていないショットバーも多い。そんな中、渋谷の「Bar CAOL ILA」が異彩を放つ。その名の通り、カリラを中心に扱っているバーで、なんとボトラーズ含めて80種類、秘蔵の銘柄も含めると150種類を揃えている。若い年数の新しい製品から、長期熟成した貴重な銘柄まで味わえる。カリラの充実度で言うなら、文句なく日本一だろう。

本日の1杯は、「Bar CAOL ILA」にて。さほど広くない店内はシックな内装で、じっくり落ち着いて飲める雰囲気だ。もうここに来たら、頼む酒はカリラに決まっている。銘柄は、お任せだ。何度か来ているので、いつも新しい瓶を出してくれる。まだ飲んだことがない銘柄を薦めてくれたので、文句なくオーダー。ジャン・ボワイエ社というフランスのボトラーズが手がける「カリラ」だった。1996年に罇詰めしているので、フレッシュな風味が残っている。さっぱりした後味で、オフィシャルに相当近い感じだ。まだ1件目なので、43度くらいの酒ならぐいーっといってしまいそうになるが、そこは抑えてちびちびと味わう。

舌の上で転がし、徹底的に味わった後、食道で酒を吸収してしまおうかというくらい少しずつ飲み込む。カリラが体全体に染み渡っていくのを感じる。気がかりなことや悩みがあっても、この時ばかりはさーっと消えてしまう。グラスが空になりかけると、次の酒を考える。2?3杯飲んだら、次に行くバーに思いを馳せる。太陽が昇る頃には、夕方飲みに帰ってくる店を決める。
よくご「自愛を」と言われるが、筆者にとっては、これこそが最高の自愛だ。


【Bar CAOL ILA渋谷店】
東京都渋谷区道玄坂1-13-3 MST道玄坂 3F
TEL:03-5428-6184












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