BacchusうなぎのBar-Hopping

本日の1杯 vol.23
【北欧のインテリアに囲まれながらシングルモルトを嗜む】:bar nems

2011 / 12 / 12

nems01.jpg誰しもひとりでじっくり飲みたいときもある。いつも行っているバーだと、顔なじみの常連たちがいるので、行き先に悩んでしまう。そんな時に足を向けたい、隠れ家的な「bar nems(ネムス)」だ。4年ほど前に友人に連れて行かれたときは、すごく驚いたのを覚えている。何せ、看板がない。外に置く立て看板どころか店の前も出していないのだ。古いビルの階段を下り、コンクリート打ちっ放しの突き当たりに、花瓶やグラスなどのガラス細工がライトアップされている。隣に扉はあるものの、知らなければ絶対に押せない雰囲気だ。

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扉を開けて右に抜けるとバーの空間が広がる。雰囲気たっぷりのオーセンティックなバーだが、あちこちに絵画やガラス細工などのアーティスティックなオブジェが飾られている。50年代から80年代まで、北欧を中心としたデザイナーの作品の数々。椅子も贅沢な作りで、座り心地は最高。つい長居してしまう。

バーテンダーは11年前のオープン当時からカウンターに立っている衣川さん。曜日によっては、もう一人立つ。今日は食事の時にお酒を飲んでいないので、まず1杯目はモスコミュールを注文。ネムスはショウガとハーブを煮込んだシロップを作っている。ウォッカはBELVEDEREを利用し、ソーダでアップするスタイルだ。BELVEDEREは、フレーバーウォッカではない普通のタイプだが、甘い口当たりでとても美味しいウォッカだ。このモスコミュールはショウガの味がはっきり出ていてぴりっとくる。食前酒としては食欲を引き立たせてくれるし、ライムとジンジャーのフレーバーがデザートっぽく食後酒でもOK。価格は1000円とお手頃だ。

モスコミュールを静かに飲みながら、自然と壁際に並ぶ作品を見やる。ポップなポスターから歴史を感じるオブジェなどが独自な雰囲気を醸し出す。とりわけ興味を引かれるのがガラス細工。入り口近くにあるので振り向かなければ見られないのが残念だが、様々な形・色の作品が並んでいる。炎熱に炙られて創り出されるガラス細工に何故このような清涼感が宿るのか不思議だ。

ネムスを隠れ家として愛用したくなるのは、衣川さんの間合いが絶妙なことも大きい。バーテンダーは独りの客には話しかけることが多い。会話を望んで来ている客も多いためだ。しかし、今日のようにひとりでしっとり飲みたいこともある。そんなとき、衣川さんはは距離を置いてそっとしておいてくれるのだ。お酒を片手に、存分に物思いにふけられる。なんなら何も考えないのもいい。忙しい日常から開放されるひとときだ。

ふと気がつくとモスコミュールがなくなっている。お代わりを頼もうと思って顔を上げると、すぐに反応してくれる。単に放っておかれているわけではないのだ。このあたりが、お気に入り。

nems04.jpgネムスのスコッチは約50種類で、ときどき入れ替わる。アイラウィスキーのように癖の強いものが多いのも趣味がぴったり合う。オススメされたのは3本。日本のインポーターが樽を選んだスリーリバースの「THE DANCE」シリーズから、22年もののラフロイグ。ダンスシリーズはレベルが高く好評なので、垂涎もの。価格は1800円とコストパフォーマンスがいい。次が「THE PERFECT DRAM BUNNAHABHAIN 1975-2011 36年」。ブナハーブンはアイラものではスモーキーさを押さえているのが特徴だが、甘い口当たり。そこに36年の熟成が加わると、どうなるのかは知りたいところ。ただ、「Glenfarclas 25年」が出てきて目を奪われた。丸い瓶のはずが四角いのだ。
尋ねると、80年代に作られたものだと言う。衣川さんは、70〜80年代に流通していたオールドボトルが好きで、以前からコレクションしているのだ。グレンファークラスはゲール語で「緑の草の生い茂る谷間」を意味する。スペイサイドのスコッチながら、スモーキー。25年熟成の上に、ボトリングされてから30年近く経っている。相当にヘヴィな味に仕上がっているに違いない。価格は4000円だが、もし今手に入れるとなると相当な金額が必要になるのでお手頃と言っていいだろう。もちろん、オーダー。

アルコールが微妙に吸収され、なんで独りになりたかったのかわからなくなってくる。今日もスイッチが入ってしまった。とことんまで飲み倒すことになるだろう。



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bar nems バー・ネムス
住所:〒141-0022 東京都目黒区上目黒1-5-10 中目黒マンションB1-2
TEL:03-5725-7144
HP:http://barnems.com/



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