ikkieの音楽総研

第179回 洋楽編 JOHN SYKES ―― レス・ポールを持った情熱の貴公子、復活!

2017 / 03 / 14

sykes170314.jpg まだまだ寒い日が続きますねえ。3月ってこんなに寒かったっけ、なんて毎年今頃になると思っているんだけど、今年は例年よりも気温が低いそうな……。さて、そんな寒い毎日に鬱々とした日々を送っていた俺に(大げさ)、嬉しいニュースが飛び込んできました! BLUE MURDER WHITESNAKETHIN LIZZYなどでの活動で知られるジョン・サイクスが、17年ぶりに新作を発表するとのこと! ジェイク・E・リーエイドリアン・ヴァンデンバーグの復帰アルバムも17年ぶりだったし、雲隠れしちゃうギタリスト達(エイドリアンはちょっと違うけど)にはなにか共通する時間のサイクルがあるのかしら。まあ、まるで失踪したかのように表舞台から消えてしまったジェイクとは違い、ジョンは09年まではTHIN LIZZYをやっていたわけで、活動休止期間は実質8年ほど……、それでも十分長いけどね。

ジョン・サイクスは81年にTYGERS OF PAN TANG でデビュー。その後はTHIN LIZZY、WHITESNAKEという大物バンドに加入し、新世代のギターヒーローとして高く評価を受けるも、THIN LIZZYは加入の時点で解散が決まっていたし、WHITESNAKEからは後に大ヒットを記録することになるアルバムの発表前に解雇されてしまうという、悲運続きの人でもありました。とくにWHITESNAKEでは、ロック史上に残る名盤『WHITESNAKE 』でリメイクの2曲を除く全曲をデイヴィッド・カヴァデールと共作し、凄まじいギタープレイを披露していたのにもかかわらず、当時話題になったPVはおろか、大成功を収めたツアーにも参加しておらず、ジョンはまるでいなかったかのように扱われてしまった。デイヴィッドとの間にはいまだに確執があるらしく、何度か噂になったリユニオンは一度も実現していない。

『Cold Sweat』
THIN LIZZY時代のジョン。
ジョンのギターはゲイリー・ムーアの影響が大きい……というか、モロ(笑)。
 


WHITESNAKE脱退後のジョンはBLUE MURDERを結成し、自身がヴォーカルも兼任。大ヒットアルバム『WHITESNAKE』のサウンドを継承しつつ、誰にも似ていない独自のサウンドを作り上げるも、ここ日本以外ではあまりセールスに恵まれず……。そういったことも影響してか、BLUE MURDERはアルバム2枚のみで解散。それ以降はジョンのソロプロジェクト(と呼んでいいと思う)、SYKES として活動していたんだけど、それもいつの間にかフェードアウトしてしまった。そのSYKESの最後のアルバムが発表されたのが00年で、今回はそれ以降、初めてのスタジオアルバムが発表されるわけだ(再結成THIN LIZZY ジョン・サイクス 名義のライヴアルバムはそれ以降にも発表されている)。

『Valley of the king』
カーマイン・アピス、トニー・フランクリンとのスーパートリオ、BLUE MURDER。
もっとこのメンバーで続けてほしかったなあ……。
 


ヤングギター に掲載されたジョンの最新インタビューによると、再結成THIN LIZZYの活動に疲れきってしまい、休みがほしかった……というのがこの長期間に渡る不在の真相のようだ。ちょっと長過ぎませんかね、と思う向きもありましょうが、俺はまあ、わからないでもない。実は、俺も体調不良で1年間ほどまともに活動が出来なかった時期があるんだけど、1年なんてほんとにあっという間だった。引きこもりの人たちだってそうだと思うよ。俺や引きこもりとジョンを比べるのはどうかと思うけど、気が付いたら8年も経っていた……って感じじゃないのかな。もちろんその間に何もやっていなかったわけではなく、BLUE MURDERのオリジナルラインナップでの再結成に向けて活動をしていたり(実現せず)、今回のアルバムのレコーディングもしていたという。

『Bad Boys』
4年に日本で行われたBLUE MURDER名義でのライヴ(発表されたライヴアルバムはなぜかジョンのソロ名義)。ジョン以降のWHITESNAKEのギタリスト達が弾くこの曲もいいけど、やっぱりジョンのプレイが“本物”だ。ちなみに、リズム隊にはトミー・アルドリッジにマルコ・メンドーサと、WHITESNAKEに出たり入ったりの人達。
 


ヤングギター購入者特典でダウンロード出来る新曲『Standing at the Gates of Hell』は、これまでには無かったスローでヘヴィな曲調に驚かされたけど、ギターも歌もまぎれもなく“ジョン・サイクス”だった。17年前に発表されたアルバム はかなり実験的な内容で、ジョンの音楽家としての探究心や才能は感じさせてくれたものの、ファンが望むジョン・サイクス像とはかなり違っていたと思うし、個人的にもあまり好みではなかったから、こうやってジョンらしいサウンドを聴かせてくれるのは大歓迎。

アルバムはもう完成しており、今年中に発表出来るとジョンは断言していたけど、今までが今までだからねえ。それでもインタビューを読む限りではかなりやる気になっているようだし、今度こそ大丈夫だと信じたい。そして、今年は『WHITESNAKE』発表からちょうど30周年。本家WHITESNAKEはアルバム再現ライヴなんかをやりそうだし、そこにジョンが参加、なんてことはやっぱり難しいかなあ……いや、GUNS N’ ROSESの例もあるし、今の時代、何だって起こりうるよね。期待し過ぎず、期待していようと思います。まあ、WHITESNAKEのことは置いとくにしても、よくぞ戻ってきてくれました。お帰りなさい、ジョン!


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とにかくここから  アクセス! 動画もあるよん。
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