ikkieの音楽総研

第202回 洋楽編 Pat Torpey――世界中のファンに愛された努力と信念の人......追悼パット・トーピー

2018 / 02 / 20

またしても訃報が飛び込んできました。MR.BIGのドラマー、パット・トーピーがパーキンソン病の合併症のため、2月7日に亡くなってしまったとのこと。14年にパーキンソン病を患っていることを公表していたから闘病していることは知っていたけど、去年の来日公演にも同行してパーカッションをプレイするなど(ドラムはマット・スターがプレイ)、元気な姿を見せていただけに、急な訃報に本当に驚きました。享年64歳……。ミュージシャンとしてもまだまだこれからという年齢だよね。残念でなりません……。

180220pattorpey.jpg パット・トーピーはアメリカ、オハイオ州出身のミュージシャン。ローカルバンドでの活動を経て、80年代にセッションミュージシャンとして活動を開始。元LED ZEPPELINロバート・プラント や、べリンダ・カーライル といったビッグ・アーティストのツアーに参加するなど、その実力は高く評価されていました。ただ、パットの名前が日本でよく知られるようになったのは、89年のMR.BIGでのデビュー以降じゃないかなあ。ロバート・プラントはともかく、ポップシンガーのべリンダ・カーライルのバックミュージシャンに注目していた人は少ないだろうし……。俺はMR.BIGまでパットのことは知りませんでした。IMPELLITTERIのアルバム(88年) に参加していたと聞いて、ああ、あのアルバムで叩いていた人なのか、とは思ったけど。

MR.BIGは他の3人が何かと派手だから、デビュー当時のパットには少々地味なイメージもあったかもしれない。それでも、パットはテクニカルな弦楽器コンビと渡り合えるほどの確かなテクニックを持ったドラマーで、しかも、ドラムのみならずソングライティングとヴォーカルまで担当したソロアルバムを2作も発表するほどの多才なアーティストでもあった。さらに、MR.BIGのアルバムのアートワークはパットが担当していたし(どれもセンスがいい)、さらにさらに、俳優になれそうなほどの男前! 落ち着いたルックスのせいもあってか、堅実そうに見えるだけであって、プレイだって決して地味じゃないんだけどな。『Yesterday 』を歌いながら(!)叩きまくるドラムソロは派手だったし、ドラマー以外でも楽しめるドラムソロを聴かせてくれる、素晴らしいエンターテイナーだった。

『Temperamental』
この日は会場にいました。パットのこういうテンポのドラムが大好き。ほんとに気持ちいい。
 


バンドをやったことがない人には、ドラムの重要性が今ひとつわかりにくいかもしれないけど、バンドサウンドの要はドラムだといっても過言じゃない。リズム、ビート、グルーヴ……、いわゆるバンドの“ノリ”を決定付けるのはドラマーの仕事だ。どういうタイム感でスネアを叩くのか……、それだけでバンド全体の印象が変わる。ドラマーが変わるとそのタイム感が変わってしまうから、別のバンドみたいに聴こえてしまうんだよね。LED ZEPPELIN、VAN HALENTHE POLICEBON JOVIMETALLICA……、個性的なドラマーがいるバンドほどその傾向が強いけど、どんなバンドでもそう。ポール・ギルバート (G)が一時脱退していた時のMR.BIGは、ちゃんとMR.BIGに聴こえたけど(ポールがいらないという意味じゃないよ)、パットがいないMR.BIGは……。マット・スターがメインで叩いた来日公演は観に行けなかったから何とも言えないけど、ポールの時よりも違和感を覚えたんじゃないか、という気がしています。

『Memory of Pat Torpey』
日本の所属レーベルによる追悼動画。パットの人柄の良さが伝わってくるね……。
 


俺はギタリストなので、ドラムの細かいテクニックなんかはあまりわからないけど、パットのドラムは大好物だった。少し後ノリ気味のリズムがとにかく気持ち良くてね。ああいうドラムが自分の曲にも欲しいと思っていたから、バンドのドラマーに、パット・トーピーみたいに叩いてくれ、とリクエストをしたこともある。それに、パットのドラムはすごく良い音でね。レコーディングで自分の曲をミックスする時には、いつもパットの音を参考にしているんだよね。……パットは本当に良いドラマーだったんだよ。

『Pat Torpey's history film &To be with You』
ファン撮影による去年の武道館公演。前半はパットのドラマー人生を振り返るアニメーション。
満場の拍手に涙を浮かべるパットにもらい泣き……。
ほんとに素晴らしいミュージシャンでした。残念です。
 


パットが亡くなって、今もまだ動揺しています。本人に直接会ったことがあるわけじゃないけど、何度もライヴを観ているし、彼のファンだった。パットは若いころに自分よりも上手いドラマーを観ても、自分だって出来るはずだと信じて努力を続け、(プロになることを)決して諦めなかったという。そして、あれだけのドラマーになったんだよね。「天賦の才能の対極にある“決して諦めない”が僕なんだ」と語っていたパット。そんなパットのことだから、病気のことだって決して諦めていなかったと思う。MR.BIGの他のメンバーも同じ。彼らもパットのことを諦めず、パットと共に音楽を創り続けた。なのに……、辛いなあ。悔しかっただろうね……。神様なんていないのかな。


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