ikkieの音楽総研

第246回 洋楽編WHITESNAKE―― 発売から30周年! 問題作の"戦犯"はいったい誰だったのか

2019 / 10 / 29

101029tongue.jpg WHITESNAKEが89年に発表したアルバム、『Slip of the Tongue』の30周年記念盤 が発売されました。リマスター盤に加えて、当時のライヴ音源や未発表曲(なんとVANDENBERG の曲のセッションも!)が収録されているスーパーデラックスエディション などの複数バージョンがリリースされています。これまでに発表されている記念盤同様、とても興味深い内容なんですが、このアルバムはオリジナル盤 のリリース当時、かなり物議を醸したアルバムでもありまして……。

『Slip of the Tongue』はWHITESNAKEの8作目のスタジオアルバム。全米、全英チャートで10位を獲得したのをはじめ、世界中で大ヒットを記録しましたが、当時の俺は、彼らが名盤『Whitesnake 』に続く作品としていったいどんなアルバムを作ったのか、そして、スティーヴ・ヴァイがWHITESNAKEでギターを弾くなんて……と戦々恐々としつつ、リリースを待っていました。

レコーディング直前にエイドリアン・ヴァンデンバーグ(G)の手首に原因不明の不調が見つかり、ギターを弾くことが出来なくなってしまい、エイドリアンの代わりにギターを弾くことになったのが、そのあまりに特異なスタイルから宇宙人とも称される奇才、スティーヴ・ヴァイでした。初めて聞いたときは、腰が抜けるほど驚いたなあ。デビュー以来、一貫してブルーズベースのハードロックをプレイしてきたWHITESNAKEに、ブルーズフィーリングがまったくないスティーヴが合うとは思えなかったもの。スティーヴ自身もそう感じていたらしく、最初はあまり良い考えだとは思えなかったと語っている。デイヴィッド・カヴァデール(Vo)いわく、映画『クロスロード』でのスティーヴに感銘を受けてオファーしたということだったけど……、他でのプレイは聴かなかったのかね。

そして発表された『Slip of the Tongue』は、完成度は凄まじく高いものの、スティーヴが彼独特の浮遊感のあるメロディや、音数の多いプレイで隙間を埋め尽くすWHITESNAKEらしからぬきらびやかなサウンドで、賛否両論を巻き起こしました。個人的には、両者の相性はお世辞にも良いとは思えなかったし、どうしても好きになれないアルバムです。だからこそ、今回、作曲途中の段階のデモを聴くことで、“戦犯”が誰だったのかがわかるかもしれない……と楽しみにしていたんだよね。

『Sweet Lady Luck』
シングルのB面だったかな? アルバムには未収録だった曲。
キラキラなシンセが邪魔な気はするけど、良い曲だし、
アルバムに入れても良かったんじゃないのかなあ。
 


スティーヴは、リメイクの『Fool for Your Loving』を除くすべての曲をデイヴィッドと共作しながらも、レコーディングに参加出来なかったエイドリアンのことを考えながらギターを弾いたと語っていたけど、出来上がった作品はスティーヴ節が全開で、エイドリアンの存在は感じられなかったから、俺の中での“戦犯”は完全にスティーヴだった。それが、30周年記念のインタビューや、今回のデモを聴いたことで、ガラッと変わるんだけど。

おそらく、デモのギターはほとんどエイドリアンが弾いていると思うんだけど、その中に、アルバムでスティーヴが弾いているままのフレーズがいくつかあって、エイドリアンのアイディアだったのかと驚いた。デモはいろんなバージョンを1曲につなぎ合わせているし、明らかにスティーヴが弾いているものも混ざっているから、エイドリアンだと思ったプレイも実はスティーヴのプレイなのかもしれないんだけどね。そして、驚くことに、思っていたほどはデモとアルバムの印象に差がない。アルバムはスティーヴ節が全開であっても、スティーヴがエイドリアンのことを念頭に置いてギターを弾いたというのも、(なんとなくは)感じることが出来る。スティーヴはスティーヴらしく、完璧に仕事をしただけだった。

『The Deeper the Love』
あまり好きな曲がなかったアルバムだけど、この曲は好きだったな。
スティーヴのメロディアスなソロも素敵!
 


デモを聴いて、そしてまたあらためてアルバムを聴いてみて思ったのは、全体的にデイヴィッドのヴォーカルのキーが高過ぎるということ。せめて全音か半音でも低ければ……、楽曲そのものは『Slide It In』に入っていそうな曲も多いし、それがデイヴィッドらしい低音で歌われていれば、印象がずいぶん違っていたんじゃないかな。そんなことで? と思う人もいるかもしれないけど、オリジナル から全音上げているリメイクの『Fool for Your Loving』は、原曲にあった哀愁成分とでもいう旨味がなくなっていると思わない? 他の曲でも、あの名シンガーがいかにも苦しそうにフラットしているところがたくさんある。そもそものキー設定に無理があったということだろう。高音がキツそうなところをオクターヴ下で歌っている箇所もあって、そっちのほうが良かったりするし……。

『Fool for Your Loving』
リリース当時、オリジナルバージョンとのキーの違いや、
スティーヴのギターに違和感だらけでした。
 


エイドリアンとデイヴィッドのアコースティックライヴアルバム (超名盤!)で聴くこのアルバムの曲は、素晴らしかった。つまり、楽曲そのものは問題ない。となると、“戦犯”は? ……まあ、デイヴィッドで間違いないと思うけど、WHITESNAKEにこういうアルバムを作らせてしまった、あの時代かもしれないね。


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