ikkieの音楽総研

第355回 邦楽編 NEMOPHILA ―― 着実に"進化"を続けるNEMOPHILA、待望のサードアルバム『Evolve』をリリース!

2024 / 01 / 23

寒い日が続きますね。今のところ東京ではさほど雪も降らず、例年より気温も高めなのかもしれませんが、寒さの本番はまだまだこれからで、地震で大きな被害が出た能登地方では大雪のおそれもあると聞きます。早く暖かくなってくれないかな……。さて、今回の音楽総研は先日リリースされたばかりのNEMOPHILAのサードアルバム『Evolve 』についてあれこれと。

nemophila evolve.jpg
2023年のNEMOPHILAは国内のツアーに加えて、アメリカツアーやカヴァーソングのミニアルバム『The Initial Impulse 』のリリース、メンバーそれぞれの個人活動など精力的に活動していて、どこにフルアルバムを作る時間があったのかと思うほどだったけど、もちろんそれで作品の質が低下するなどということはなく、『Evolve』のタイトル通りに"進化"を感じさせる作品をリリースしてくれた。

CDを一聴してまず感じたのは、音圧が凄いな、と。なんだか語彙が乏しくて情けないけど、1曲目の『Enigma』のオープニングリフから、弦楽器隊の低音域の迫力に圧倒されてしまった。クレジットを見ると、名だたるメタルバンドのミックスを手掛けてきたイェンス・ボグレンがこれまでと同様にマスタリングしていて、その迫力にも納得......ではあるものの、NEMOPHILA自身のプレイに迫力がなければどんな名エンジニアがマスタリングしても、ここまでの音は出せないはずだ。......そして、今の時代にこういう言い方がナンセンスであることは百も承知の上で言わせてもらうけど、こんなに重い音を女性だけのバンドが出しているなんて、とあらためて驚かずにはいられなかった。

そして、知っての通り、NEMOPHILAの楽曲は"重い"ことだけが売りなわけではなく、キャッチーな歌メロや、ポジティヴな歌詞、楽器陣のテクニカルなプレイも聴きどころで、それは本作でも十分に堪能できる。『Rise』や『OSKR』、『Justice』など、前半はゴリゴリにヘヴィなリフとドスの効いたmayu(Vo)のスクリームで押しながらも、サビは解放感のあるキャッチーなメロディでガラっと雰囲気が変わるという、NEMOPHILAの王道パターンは文句なしにカッコいい。また、これまでになかったパターンの正統派バラード『Odyssey』はR&Bテイストも感じさせる楽曲で、mayuがスクリームだけでなく、こうやって歌い上げるヴォーカルでも魅力的なシンガーであることを証明しているし、楽器陣も普段の激しい演奏とは違う、見事な演奏を聴かせてくれている。『Odyssey』は映画『映画おしりたんてい さらば愛しき相棒(おしり)よ 』のキャンペーンソングに決まったとのことで、ファン層の更なる拡大も期待出来るんじゃないだろうか。

『Rise』
先行リリースされていたNEMOPHILA王道パターンの楽曲。メンバー全員に華がある......!

 


NEMOPHILAはYouTubeで大好評のIRON MAIDENなどのカヴァーソングのチョイスを見ても、おそらく俺と同じようなアラフィフで年季の入ったHR/HMファンの男性からの人気が高いんじゃないかと思っているけど、『Evolve』はそのファン層のど真ん中からは少し外れた、メタルコアやラウドロックのテイストに寄った印象もあって、もしかすると、これまでのファンの中には、前のほうが好きだな、と感じるファンもいるかもしれない。NEMOPHILA以前からヘヴィメタルバンドでプレイしていたSAKI (G)や葉月 (G)はIRON MAIDENからの影響があるかもしれないけど、彼女たちより年少のmayuやハラグチサン(B)は、『The Initial Impulse』でカヴァーしたSystem Of A Down SLIPKNOT のようなラウドロック系のバンドの影響のほうが大きいんじゃないんだろうか。そういったバンドの影響がより強く出てくると、2人と同世代のファンがもっと増える......というのは短絡的すぎるかな。まあ、いずれにせよ、本作でもっとファンが増えるだろうし、ファン層も広がるのは間違いないはずだ。

『Odyssey』
名曲! ライヴでどんなふうにやってくれるか今から楽しみ......

 


『Evolve』は前2作のオリジナルアルバムに比べて外部ライターによる楽曲が増えている。前作『Seize the Fate 』のメンバー作の楽曲が素晴らしかったから少し残念ではあったけど、メンバーたちが異口同音に『人の曲を演奏することで成長する』と発言していて、その意見には完全に同意するし、よりクオリティが高い曲が揃うなら、外部ライターとの共作は大賛成だ。BON JOVIだってAEROSMITHだって、大ヒット曲は外部ライターとの共作だしね。mayuの個性的なヴォーカルを筆頭に、NEMOPHILAがプレイすれば誰が書いた曲でもNEMOPHILAの曲に聴こえる。そんな稀有なバンドなんだから、自作曲にこだわる必要はない......けど、前作の俺のフェイヴァリット、『Back into the Wild』を書いたむらたたむ (Dr)の曲はもっと聴いてみたいぞ。それは次作に期待かな。

本作に関してはほんとに大満足の出来で、もう何度も繰り返し聴いているんだけど、むらたたむの書く曲が聴きたいということ以外に不満があるとしたら、ヴォーカルがもっと"立った"ミックスにしてほしかった、ということ。最初に書いた通り、ギターやドラムの迫力は凄いんだけども。とくに『Odyssey』のような曲は歌中心にミックスしてもいいんじゃないだろうか。ただ、これは聴く環境によるのかもしれないなあ......。でも、いろいろ試してみても、俺のリスニング環境じゃスピーカーでもヘッドフォンでも歌が小さめに聴こえるんだよね。

『YELL 〜軌跡〜』
もう1曲くらいヘヴィな曲を、とも思ったけど、これ凄くいい曲なんだよね。現時点でのフェイヴァリットです

 


最後にほんの少しだけ不満は書いたけど、『Evolve』が前作よりも格段に"進化"したアルバムであるのは間違いない。『Evolve』の楽曲を2月の日本武道館で聴けるのを楽しみにしています!

(文中敬称略)

 
 


※ikkieのバンド、Antlionのシングルがリリースされました!
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