ikkieの音楽総研

第237回 洋楽編 BRAD GILLIS―― エモーショナルなイノベイター、トレモロ・アームの申し子ブラッド・ギルス!

2019 / 07 / 09

このところ、観たいライヴが立て続けに発表されて頭を抱えております。とりあえずWHITESNAKENIGHT RANGER(2日間)の東京公演のチケットは予約したけど、KISSのラストツアーにシンディ・ローパースティングKTタンストールやサマソニに出るTHE STRUTS、フジロックのシーアも観たい……。どれもこれも観に行きたいけど、体は1つしかないし、財布も1つ。いくつかはあきらめないとダメだろうなあ。……さて、今回の音楽総研は、東京公演の即日完売を受けて、追加公演が決まったNIGHT RANGERのギタリスト、ブラッド・ギルス をご紹介! NIGHT RANGERはこれまでに何度も取り上げているけど、ブラッド一人のことを書くのは今回が初めてですね。

190709brad.jpg ブラッド・ギルスは57年生まれのアメリカ人ギタリスト。78年にファンクロックバンドのRUBICON でデビューし、解散後にはのちにNIGHT RANGERとなるRANGERを結成するも、82年に急逝したランディ・ローズの後任としてオジー・オズボーンのバンドに参加、トレモロ・アームを多用する個性的なスタイルで一躍その名を世界に知らしめた。しかし、NIGHT RANGERがレコード契約を結んだことを機にNIGHT RANGERに復帰して、82年に再デビュー……というのがブラッドの大まかな経歴。

俺がブラッドのことを知ったのはNIGHT RANGERがセカンドアルバム を発表したころだったから、83〜84年ぐらいか。地元のテレビ局の洋楽番組のテーマソングが『(You Can Still)Rock In America 』だったんだよね。まだギターを弾き始める前だったから、細かいことは全然わからなかったけど、イントロの「グイーン」っていうギターがカッコいいな、とは思っていたかな。

『Don't Tell Me You Love Me』
赤いストラトを持っているほうがブラッド。この短いソロでもブラッドらしさが満載! 
ボディを叩くクリケット奏法もアームユニットをフローティング(浮かせて)させているブラッドならではのプレイです。
そして相方のジェフ・ワトソンも凄い……。
 


ブラッドのギターの特徴といえば、やはりその個性的なトレモロ・アームの使い方。ブラッドが登場する前のアームの使い手といえば、ジミ・ヘンドリックス リッチー・ブラックモアエディ・ヴァン・ヘイレンなんかが代表的だったけど、彼らはほぼ音程を下げる(和製英語でアーム・ダウンという)ことにアームを使っていたのに対し(エディは元からダウンさせておいたアームを“戻す”ことで音程を上げたりもする)、ブラッドはアームで音程を上げる(アーム・アップ)という、それまでほとんど誰もやっていなかったプレイを行った。

ギターで音程を上げるといえばやっぱりチョーキングだけど、アームでやるとニュアンスが全然違うし、チョーキングでは出来ないような、弦から指を離すハーモニクスや開放弦の音程を変えることも出来る。プレイによってはより激しく、より狂おしく聴こえたりもするし……また、ブラッドのプレイは、聴くとすぐにブラッドだってわかるんだよね。何人ものギタリストたちが参加し、交互にソロを弾く『Stars』でも、ブラッドのプレイは“一聴”瞭然だった。ギターを弾かない人でもわかるんじゃないかな。個性的という意味では、エディにも引けを取らないと思う。ブラッドはインタビューで、「エディがアームをアップさせないなら、俺はやろうと思った」と語っており、世界一のギターヒーローだったエディを意識してのことではあったようだけど、それで誰とも違う個性的なスタイルを築き上げたわけだから、やっぱりギターヒーローになるような人は違うなあ、なんて少年時代の俺は感心したものでした。

『Sister Christian』
大ヒットした名バラード。
この曲のブラッドのソロが凄く良いんだよねー。
 


もちろん、彼の特徴はアームだけじゃない。9割方のHR/HM系ギタリストがマーシャルのアンプを使っていた80年代からメサ・ブギーを愛用していたことも特筆するべきだし、そのメサ・ブギーによる中域を強調したギターサウンドは色気があって、実に個性的だった。そういえば、ストラトキャスターにシングルコイルが2つとハンバッカー1つ、というピックアップのレイアウトもブラッドから広まったんじゃないかな? 加えて、メロディアスな泣きのソロも良い。使われる音程だけでいえば、ブラッドのプレイはブルーズを下敷きにしたロックギタリストらしい王道のフレーズが多いんだけど、それをブラッドらしいアームを絡めたプレイで奏でられると、よりエモーショナルに聴こえるんだよね。

ブラッドのプレイにはとにかく華がある。派手、ということだけではなく、すごく印象的でキャッチーだ。エディ・ヴァン・ヘイレンがそうだったように、テクニカルなだけではなく、印象に残る……、それこそ一緒に歌えるようなギターが弾けるからこそ、彼らはギターヒーローなわけでね。そこら辺のテクニカルなだけのギタリストとは違う。

『Brad Gillis guitar solo』
83年のジャパンツアーからブラッドのギターソロ。
アームを使った様々なテクニックが堪能できます。カッコいい!
 


10月のライヴでは、『Dawn Patrol 』と『Midnight Madness 』という初期の名盤を再現するという。最近のNIGHT RANGERを知らない人たちでも十分に楽しめるライヴなんじゃないかな。もう追加公演ぐらいしかチケットは残ってなさそうだけど、迷っている人はすぐにゲットしましょ。NIGHT RANGERは世界屈指のライヴバンドです。俺が保証します! 絶対に楽しいよ。


※ikkieがなんと「出張ギター教室」を始めてしまいました!
とにかくここから  アクセス! 動画もあるよん。
http://dokodemoguitar.com/ 













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